国連主導のハイチ「対ギャング部隊」、資金調達目標上回る
国際社会は今回の資金拡充を機にハイチの治安回復と政治プロセスの再建を後押ししたい考えだ。
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国連の支援を受ける中米ハイチの対ギャング部隊が、資金面で当初の予想を上回る支援を集めていることが明らかになった。深刻化する治安悪化への国際的な懸念を背景に、多国間での対応が本格化している。
国連が23日に公表したデータによると、この部隊にはこれまでに国連安全保障理事会メンバー13カ国から2億ドル以上の拠出が約束され、そのうち約5900万ドルがすでに支出された。さらにカタールも3000万ドルの拠出を表明しており、複数年にわたり資金が供給される見通しである。こうした資金規模は従来の国際支援が不足に悩まされてきた経緯と比べ、異例の進展といえる。
この新部隊は2025年9月に米国とパナマの主導で提案され、国連安保理の承認を経て創設された。最大5500人規模の兵力を想定し、ギャングの拘束を含む強い権限が付与されている。従来のケニア主導の多国籍部隊は資金不足や人員不足により目標の半数程度しか展開できず、十分な成果を上げられなかった。
新部隊にはすでにチャドなどからの部隊が段階的に投入され、今後数カ月間、増派が続く見込みだ。最終的には2026年末にかけて完全展開を目指す。現地ではハイチ国家警察と連携し、作戦や拘束手続きなどの枠組み整備も進められている。
背景には、ハイチにおける治安情勢の急速な悪化がある。2021年のモイーズ(Jovenel Moise)大統領暗殺以降、ギャングが勢力を拡大し、首都ポルトープランスの9割を支配下に置いた。略奪や誘拐、性的暴力などが横行し、国家機能の崩壊が懸念されている。
暴力の規模も深刻で、直近の報告では2024年12月から2025年2月の間に2400人以上が殺害された。前年には9000人以上が命を落とし、人口10万人当たりの殺人率は76人と世界最悪水準に達した。また、国内避難民は過去最多の145万人に上り、その半数以上が子どもである。
国連は新部隊について、「転換点となる可能性がある」と期待を示す一方、民間人被害の増加や人権侵害への懸念も指摘されている。実際、対ギャング作戦の強化に伴い、民間人の死傷者も報告されており、今後の運用には慎重さが求められる。
ハイチ国内では過去の国際部隊が十分な成果を上げられなかったことへの批判もある。そのため、今回の新部隊が治安の持続的な回復・安定につながるかどうかは不透明で、単なる軍事的対応にとどまらず、国家機構の再建や自立的な治安維持能力の強化が不可欠である。
国際社会は今回の資金拡充を機にハイチの治安回復と政治プロセスの再建を後押ししたい考えだ。選挙実施も治安改善が前提であり、新部隊の成否は同国の将来を左右する重要な試金石となる。期待と懸念が交錯する中、現地での具体的な成果が厳しく問われている。
