ケニア控訴裁判所、中絶の権利認めた高裁判決を破棄
今回の訴訟は2022年に起きた10代女性の医療事案を発端としている。
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ケニアの控訴裁判所は24日、人口妊娠中絶を憲法上の権利として認めた2022年の高等裁判所判決を取り消し、中絶の権利を制限する判断を示した。これにより、ケニアにおける中絶の法的位置づけをめぐる司法判断は再び大きく転換し、最高裁判所での争いに発展する可能性が高い。
今回の訴訟は2022年に起きた10代女性の医療事案を発端としている。女性は妊娠合併症で病院を受診したが、診察した医師はすでに流産していると判断し、緊急のアフターケアとして処置を行った。その後、この医師と関係者は中絶関連の容疑で訴追されたが、高等裁判所はこれを違法とし、医師と患者の行為は憲法上保護されると裁定していた。
しかし控訴裁はこの高裁判断を覆し、中絶は憲法上の基本的人権として保障されていないと明言した。控訴審は「生命の権利は憲法で保護されている」とした上で、中絶は例外的な状況、特に母体の生命や健康が危険にさらされている場合に限って許容され得ると判断した。これにより、通常の条件下での中絶は刑法上の規制対象であり続けることが確認された。
ケニアの刑法は中絶の実施や試みを原則として犯罪と規定し、有罪の場合には最大14年の懲役刑が科される可能性がある。一方で、憲法は一定の条件下で医療専門家の判断に基づき母体の生命や健康を守るための中絶を認めているが、その解釈をめぐってはこれまで司法判断が分かれてきた。
2022年の高裁判決は中絶へのアクセスを憲法上の権利として認め、医療従事者や女性への刑事訴追を制限する画期的な判断とされていた。しかし控訴審はこれを否定し、法的枠組みの「均衡を回復した」と評価する声もある一方で、女性の権利や医療アクセスの後退だとして人権団体から強い批判も出ている。
国際的な人権団体であるリプロダクティブ・ライツ・センターは今回の判決を「後退」と位置づけ、最高裁への上訴を支持する姿勢を示した。一方で、保守的な宗教団体や法的支援グループは判決を歓迎し、社会的評価は大きく分かれている。
ケニアでは安全でない中絶が母体死亡の主要な原因の一つとされ、医療アクセスの制限が健康被害を拡大させる可能性が懸念されている。専門家は今回の判断が医療現場に混乱をもたらし、違法と合法の境界がさらに不明確になる恐れがあると指摘している。
今回の判決はケニアの中絶政策と女性の生殖医療権をめぐる議論を再び司法の場に戻すものとなった。今後は最高裁判所が最終判断を下す可能性が高く、国内外の注目が集まっている。
