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モロッコ・ラバト近郊の高層ビルが開業「モハメド6世タワー」

同タワーは国王モハメド6世(King Mohammed VI)にちなんで命名され、ロケットが発射台に立つ姿をイメージしたデザインが採用されている。
2026年4月23日/モロッコ、首都ラバト近郊に建設された高層ビル(AP通信)

モロッコ・ラバト近郊で建設された総工費約7億ドル(約1116億円)の高層ビル「モハメド6世タワー」が24日、正式に開業した。高さ約250メートル、地上55階建てで、同国のみならずアフリカでも有数の高層建築となる。政府および開発関係者はこのプロジェクトを通じて観光と投資の拡大を図り、国際的な存在感を高める狙いがあるとしている。

同タワーは国王モハメド6世(King Mohammed VI)にちなんで命名され、ロケットが発射台に立つ姿をイメージしたデザインが採用されている。内部には高級ホテルが入居するほか、オフィス、商業施設、高級アパートメント、レストランなどが整備され、複合施設として機能する計画である。完成までには約8年を要し、12カ国以上から延べ2500人以上の労働者が建設に関わった。

建設会社によると、このタワーは直接雇用約450人、間接雇用約3500人の創出が見込まれ、地域経済への波及効果も強調されている。また、施設の総面積は10万平方メートルを超え、首都圏の新たなランドマークとしての役割を担うと期待されている。実際、同タワーはすでに200ディルハム紙幣に採用され、国家的象徴としての位置付けが進んでいる。

立地はラバトと隣接するサレ市で、歴史的な旧市街と大西洋を望むエリアに建設された。近隣には著名な建築家が設計したグランド・シアター・オブ・ラバトもあり、文化・芸術施設との連携による都市再開発の一環とされる。開発関係者はこれまで観光地としてはやや注目度が低かったラバト・サレ地域を国際的な観光・ビジネス拠点へと引き上げる意図があると説明している。

モロッコはアフリカ有数の観光大国であり、近年、地域紛争の影響で安全性を理由に旅行先としての評価が高まっている。さらに2030年のFIFAワールドカップをスペイン、ポルトガルと共同開催する予定で、本プロジェクトはそれに向けたインフラ整備と国際都市化戦略の一環と位置付けられていた。

一方で、国内では開発が大西洋沿岸部に集中し、内陸地域との格差が広がっているとの批判もある。失業率の高さや公共サービスの不足に対する不満は若年層を中心に根強く、政府の大規模投資が必ずしも全国的な均衡発展につながっていないとの指摘も出ている。実際、昨年には若者主導の抗議デモも発生し、経済発展と社会的公平性の両立が課題となっている。

それでも政府は今回のタワー開業をモロッコの「ソフトパワー」を強化する象徴的な出来事と位置付けている。巨大開発プロジェクトを通じて中東・アフリカ地域での影響力を高め、国際的な投資先としての地位向上を目指す姿勢が鮮明となっている。

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