米領プエルトリコのハリケーン復興予算、執行率25%にとどまる、会計検査院が勧告
送電網再建のために確保された約140億ドル(約2.27兆円)の連邦資金のうち、実際に執行されたのは25%にとどまり、多額の資金が現場に届かない状況が続いている。
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米会計検査院(GAO)が7月1日に公表した監査報告書で、大型ハリケーン・マリアによって壊滅的な被害を受けた米領プエルトリコの送電網復旧が、発災から約9年を経ても大幅に遅れている実態が明らかになった。送電網再建のために確保された約140億ドル(約2.27兆円)の連邦資金のうち、実際に執行されたのは25%にとどまり、多額の資金が現場に届かない状況が続いている。
GAOによると、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が送電網復旧向けに拠出を決めた約110億ドルのうち、実際に支出されたのは約27億ドルにとどまった。資金の多くは設備や資材の調達、設計費などに充てられ、本格的な復旧工事はなお途上にある。
プエルトリコは2017年9月、カテゴリー4の勢力で上陸したハリケーン・マリアによって電力網が壊滅し、一部地域では約1年間にわたって停電が続いた。米国史上最長の大規模停電となり、約3000人がこの影響で死亡したとされる。その直前にはハリケーン・イルマも島を襲い、さらに2019年末から2020年初めにかけて発生した地震がインフラの損傷を深刻化させた。
慢性的な停電は現在も続いており、プエルトリコ政府は2025年に電力危機を理由に非常事態を宣言した。報告書では、停電原因の約半数が送配電線周辺の樹木繁茂によるものとされるが、連邦資金を活用した伐採は計画約1万6000マイルのうち約400マイルしか完了していない。
復旧が進まない背景には、複雑な審査手続きや関係機関の人員不足、担当者の頻繁な交代に加え、多額の債務を抱える公営電力公社PREPAの財政難がある。また、高額支出に国土安全保障省トップの個別承認を義務付けた制度も資金執行を遅らせた要因とされ、この制度はその後撤廃されたものの、影響が残っている。
他省庁の支援も十分に進んでいない。住宅都市開発省が送電網の近代化向けに割り当てた約29億ドルでは、執行済みは約5億8900万ドルにとどまる。エネルギー省も約10億ドルのうち約2億5500万ドルしか執行しておらず、一部の太陽光発電関連予算は緊急補修へ振り替えられた。
GAOは報告書の中で、送電網再建には連邦政府とプエルトリコ政府、関係機関の連携強化が不可欠だと指摘し、FEMAやエネルギー省に対して制度運用の改善や役割分担の明確化を勧告した。一方、国土安全保障省は、最終的な送電網再建の責任はプエルトリコ政府にあるとの認識を示している。復興資金は確保されながらも執行が進まない現状は、災害復興における行政手続きの複雑さと統治上の課題を改めて浮き彫りにした。
