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ドミニカ・ナイトクラブ屋根崩落、元従業員が重要証言「オーナーは危険性を認識していた」

事故当日は人気メレンゲ歌手の公演が行われ、多数の観客が詰めかけていた。建
2025年4月8日/ドミニカ共和国、首都サントドミンゴ、屋根が崩落したナイトクラブ(AP通信)

カリブ海のドミニカ共和国で昨年発生したナイトクラブの屋根崩落事故を巡り、経営者の責任を問う司法手続きが大きな局面を迎えている。首都サントドミンゴの人気店「ジェットセット」で2025年4月8日に起きた事故では236人が死亡、100人以上が負傷する同国史上最悪の大惨事となった。

現地メディアによると、4月27日に裁判所で重要証言が行われた。元従業員のグレゴリー・アダメス(Gregory Adames)氏は施設の構造的な劣化について経営者側が事前に認識していたと明言した。それによると、同氏は屋根や設備の危険性を示す写真や動画を経営者に送り、問題点を共有していたという。アダメス氏は判事に対し、「あってはならない事故だった。誰一人として死ぬべきではなかった」と述べ、事故の回避可能性を強く示唆した。

起訴されているのは、クラブの経営者である実業家のアントニオ・エスパジャト(Antonio Espaillat)被告と妹のマリベル(Maribel Espaillat)被告、過失致死や過失傷害の罪に問われている。検察側は建物の安全性に関する警告が無視された可能性や、事故後に従業員への圧力や操作を試みた疑いがあると指摘し、多数の証拠を提出している。

一方、遺族の代理人はより重い「未必の故意」に相当する罪での起訴を求めている。現行の過失致死罪では刑期が最大2年にとどまるのに対し、より重い罪が認定されれば最大20年の禁錮刑が科される可能性がある。遺族側は事前に危険性が認識されていたにもかかわらず営業を続けた点を重視し、責任を追及するよう求めている。

事故当日は人気メレンゲ歌手の公演が行われ、多数の観客が詰めかけていた。建物はかつて映画館として建設され、その後改装されてクラブとして使用されていたが、大型空調設備や照明装置などが天井部分に集中していたこともあり、構造的負荷が問題視されている。崩落は公演開始から約1時間後に突然発生し、多くの来場者が逃げる間もなく下敷きとなった。

犠牲者には著名人も含まれていた。歌手や州知事、元メジャーリーガーなどが命を落とし、国内外に大きな衝撃を与えた。

事件後、政府は専門家委員会を設置して原因究明を進めてきたが、裁判手続きの遅れに対して遺族から不満の声も上がっている。今回の証言は経営側が危険性を把握していたかどうかという核心部分に踏み込むもので、今後の起訴内容や裁判の行方に大きな影響を与えるとみられる。

審理は今後も続き、裁判に進むかどうかは判事の判断に委ねられる。大量死事故の責任の所在とともに、老朽化した建物の安全管理や規制の在り方が問われている。

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