◎服役中のギャング約16,000人が非常事態宣言発効後、24時間独房に閉じ込められ、食事も1日2食に減らされた。
2022年3月27日/エルサルバドル、首都サンサルバドル(Salvador Melendez/AP通信)

エルサルバドル議会は30日、ギャングの犯罪に対する刑罰を強化する刑法改正案を賛成多数で可決した。

ビジャトロ司法公安相は法案可決後、「ギャングに所属している者は厳しい現実に直面するだろう」と声明を発表した。

地元メディアによると、刑法は数日中に公布される予定だという。

ギャングに所属し逮捕された幹部の懲役刑は6年以上9年以下から「40年以上45年以下」、その他の構成員は3年以上5年以下から「20年以上30年以下」に引き上げられる。

ビジャトロ司法公安相は、「新たな刑法は自分たちが権力の上に立つと信じ、エルサルバドル人の命を弄ぶテロリストたちを厳しく罰することを目的としている」と述べた。

ブケレ大統領は先週25日から26日の間に殺人事件が70件以上発生したことを受け、ギャングの取り締まり強化を目的とする非常事態を宣言し、警察の権限と刑務所の体制を強化した。

国家市民警察は30日の声明で、29日の殺人事件はゼロだったと報告したが、その後、ギャングと思われる2人が30日未明に治安部隊の取り締まり中に死亡したと明らかにした。

26日に殺されたギャングおよび市民は62人に達し、同日、ブケレ大統領は憲法の一部停止する非常事態宣言を承認するよう議会に要請した。

ブケレ大統領はソーシャルメディアに、「宣言からわずか4日でギャング2,163人を逮捕した」と投稿している。

国内外の人権団体は非常事態宣言で警察の権限が大幅に強化されたことに懸念を表明し、暴力的な取り締まりは憲法が保障する基本的人権を侵害する可能性があると警告した。

非常事態宣言の発効に伴い、結社の自由、黙秘権を含む逮捕後に与えられる権利、弁護士を雇う権利などが制限された。

またブケレ大統領は被疑者を一時的に拘束できる時間を72時間から15日に延長し、警察は裁判所の許可を待たずに被疑者の電話、メール、その他の通信を自由に調査できるようになった。

ブケレ大統領の新アイデア党の政策に反対する野党のライト議員は30日の記者会見で、「議会はすでに政府に多くの権利を与えている」と述べ、刑罰強化に懸念を表明した。

またライト議員は、「ブケレ大統領はギャングとの内戦に発展する可能性について議論しており、非常に懸念している」と述べた。

国軍の兵士と警察はギャングの活動拠点周辺を封鎖し、民家を一軒一軒回ってギャングのメンバーを探し、地域への出入りを厳しく管理している。兵士が子どものバックパックを調べている写真はソーシャルメディアで広く共有された。

エルサルバドルで活動する人権弁護士のザイラ・ナバス氏はAP通信の取材に対し、「極度の貧困地域に住む子供や、ギャングの支配下に置かれている地域の子供をギャングの共犯と決めつけるべきではない」と警告した。

しかし、ブケレ大統領の支持率は90%近くを維持しており、ギャングの取り締まり強化もおおむね支持されているように見える。

首都サンサルバドルの住民はAP通信に、「私だけでなく、教育を受けた人は皆、ギャングが悪いと知っています」と語った。「私は政府を全面的に支持します。ギャングは人を殺し、麻薬を密売し、国民の財産を平気で奪います...」

地元メディアによると、服役中のギャング約16,000人が非常事態宣言発効後、24時間独房に閉じ込められ、食事も1日2食に減らされたという。

人権NGOアムネスティ・インターナショナルは30日、エルサルバドル政府に人権を尊重するよう求め、過剰な取り締まりや刑務所の食事制限に懸念を表明した。

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