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エチオピア北部TPLF、戦前の行政体制復活へ、緊張高まる ティグレ州


TPLFは20日の声明で、連邦政府がプレトリア合意(和平合意)に違反していると主張した。
2022年11月12日/ケニア、首都ナイロビ、合意書を交換するエチオピア政府とTPLFの交渉官(Brian Inganga/AP通信)

エチオピア北部ティグレ州で、主要政党である「ティグレ人民解放戦線(TPLF)」が戦前の行政体制を復活させる方針を表明し、2022年11月の和平合意の枠組みが揺らいでいる。内戦終結後の安定が崩れる可能性があり、武力衝突への懸念が強まっている。

TPLFは20日の声明で、連邦政府がプレトリア合意(和平合意)に違反していると主張した。具体的には、地方公務員への給与停止や、暫定政権トップの任期延長を一方的に決定したことなどを問題視し、「再び流血の戦争を引き起こそうとしている」と批判した。このためTPLFは現在の暫定行政に代えて、戦前の行政府および議会体制を復活させると表明した。

プレトリア合意は2020年から2022年にかけて続いた内戦を終結させるため、アフリカ連合(AU)の仲介で締結されたもので、暫定政権の設置やTPLFの武装解除などを柱としていた。しかし、合意の履行は遅れや対立を抱え、2026年に入ってからも国軍とティグレ側勢力の小規模な衝突が発生し、和平プロセスは不安定な状態が続いている。

今回のTPLFの決定に対し、暫定政権の指導者も務めたレダ(Getachew Reda)氏は20日、和平合意後の体制を否定するものだと批判し、国際社会の介入を求めた。一方、連邦政府側はこれまで和平合意へのコミットメントを強調してきたが、TPLF側の主張について公式な反応を示していない。

TPLFはまた、周辺地域や近隣国との関係強化にも言及し、地域情勢がさらに複雑化する可能性がある。宿敵である隣国エリトリアとの関係も含め、過去の対立構造が再燃する懸念が指摘されている。

ティグレ紛争は数十万人規模の死者を出したとされ、飢饉や医療崩壊など深刻な人道危機を伴った。和平合意によって大規模戦闘は停止したものの、根本的な政治対立は解消されていない。今回の動きはそうした未解決の問題が再び表面化した形であり、エチオピア北部の平和が重大な岐路に立たされている。

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