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リビア沖で移民船転覆、スーダン人17人死亡、9人行方不明

リビアはアフリカや中東から欧州を目指す移民の主要な中継地となっている。
2016年5月18日/リビア沖、移民を乗せた船(Valeria Mongelli/AP通信)

国連の専門機関である国際移住機関(IOM)は4月30日、アフリカ北部・リビア沖の地中海でスーダン移民を乗せたボートが転覆し、少なくとも17人が死亡、9人が行方不明になっていると発表した。欧州を目指す危険な航路の実態を浮き彫りにする事故となった。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)やIOMによると、ボートには33人が乗船し、リビア東部トブルクからギリシャへ向かっていた。事故の発生日時は明確になっていないが、船はトブルクの北西約100キロの海域で転覆したとされる。生存者は7人にとどまり、多くの乗員が命を落としたとみられる。

救助された生存者は数日間にわたり海上で漂流していたとみられ、その間に飢えや脱水により死亡した人もいたという。救助活動にはリビア海軍や沿岸警備隊、赤新月社が参加し、遺体の収容や生存者の保護にあたった。

リビアはアフリカや中東から欧州を目指す移民の主要な中継地となっている。2011年のカダフィ政権崩壊以降、治安の不安定化や人身売買組織の横行により、危険な密航ルートが広がっている。多くの移民が紛争や貧困から逃れるため、老朽化した小型船やゴムボートで地中海横断を試みているのが実情だ。

同様の事故は後を絶たない。4月初旬にもリビア沿岸から出航した船が転覆し、80人以上が行方不明になるなど、被害が拡大している。さらにIOMによると、2026年は地中海ルートにおける死者数が2014年以来最悪のペースで増加しており、中部地中海だけで既に765人が死亡、前年同期比で約150%増となっている。

近年はスーダンのほか、バングラデシュやパキスタン、アフガニスタンなどからの移民も増加している。紛争や経済危機の長期化が背景にあり、危険を承知で海を渡る人々は減る兆しを見せていない。

今回の事故でも、多くの命が救われないまま失われた。安全な移動手段の欠如と国際的な対応の遅れが、こうした悲劇を繰り返している。地中海は依然として世界で最も危険な移民ルートの一つであり、抜本的な対策が求められている。

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