英ユダヤ人襲撃事件、容疑者を殺人未遂罪で起訴、捜査続く
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英ロンドンでユダヤ人男性2人刺され重傷を負った事件で、検察は5月1日、容疑者を殺人未遂罪で起訴し、裁判所が勾留を命じた。事件は反ユダヤ主義的な動機が疑われるテロとして扱われており、国内の緊張が高まっている。
起訴されたのは45歳のエッサ・スレイマン(Issa Suleiman)、ロンドン市内で3件の刺傷事件を起こしたとされる。報道によると、男は4月29日、南ロンドンで知人男性を襲撃した後、北西部の地区へ移動し、ユダヤ人とみられる2人の男性を相次いで刺した。
被害者の一人は34歳で、肺を損傷したが、その後退院した。もう一人の76歳男性は現在も治療を受けているが、容体は安定しているという。いずれの被害者も宗教的特徴からユダヤ人と認識され、狙われた可能性がある。
ロンドン警視庁は一連の襲撃をテロ事件と断定、捜査を進めている。現場では容疑者が刃物を持って通行人を追い回す様子も確認されており、「目に見えてユダヤ人と分かる人々を狙った」との見方が示されている。
容疑者は事件後、警察官のスタンガンで制圧、現行犯逮捕された。取り調べの後、ウェストミンスター裁判所に出廷し、殺人未遂などの罪で起訴されたが、この段階で罪状認否は行われていない。裁判所は逃亡や再犯の恐れがあるとして勾留を決定し、事件は中央刑事法院(オールド・ベイリー)に送致される予定である。
捜査当局によると、容疑者は過去に過激思想対策プログラム「プリベント」に照会された経歴があったが、その後このケースは終了していたという。今回の事件を受け、過去の対応の妥当性を問う声も上がっている。
事件の背景にはイギリスで続く反ユダヤ主義的な攻撃の増加がある。ロンドンでは近年、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)やユダヤ系施設を狙った放火事件などが相次ぎ、地域社会の不安が高まっていた。
政府は今回の事件を重く受け止め、テロ警戒レベルを引き上げるなど警備体制を強化している。ユダヤ人コミュニティからは安全確保を求める声が強く、政治指導者も対策の強化を約束している。
今回の事件は個別の暴力行為にとどまらず、社会全体に広がるヘイト犯罪とテロの問題を改めて浮き彫りにした。今後の裁判の行方とともに、再発防止に向けた具体的な対応が問われている。
