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国連「イラン危機が難民支援を妨げている」、人道支援の供給網に打撃

これまでアラブ首長国連邦(UAE)ドバイを経由し、ホルムズ海峡を通過して輸送されていた支援物資が、地域の治安悪化や航路の不安定化により大きく制約を受けている。
2023年5月13日/スーダンとチャドの国境付近にある難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は5月1日、イランをめぐる危機の影響で人道支援の供給網が深刻な打撃を受け、難民への支援が遅延・縮小していると警告した。特に燃料費や輸送費の高騰が顕著で、世界最大の難民危機とされるスーダンなどへの支援に大きな影響が出ている。

UNHCRによると、これまでアラブ首長国連邦(UAE)ドバイを経由し、ホルムズ海峡を通過して輸送されていた支援物資が、地域の治安悪化や航路の不安定化により大きく制約を受けている。港湾の混雑や保険料の上昇、燃料価格の高騰も重なり、輸送コストが急騰した。その結果、ドバイからスーダンや隣国チャドへ物資を送る費用は約92万ドルから187万ドルに倍増したという。

こうした状況を受け、従来の海上輸送に代わり、ヨルダンやオマーンを経由する陸路輸送への依存が高まっている。ただし、これらの代替ルートは効率が悪く、輸送の遅延を招いている。さらに、アフリカ南端の喜望峰を迂回する海上ルートも利用されているが、到着までに最大で約25日余分にかかる。

UNHCRの報道官は声明で、「必要とする人々に物資が届くのが遅れている」と指摘し、現場では支援のタイミングが重要であるにもかかわらず、供給の遅れが人命に影響を及ぼしかねないと懸念を示した。

影響はアフリカ各地に広がっている。スーダンのほか、エチオピアや南スーダン、コンゴ民主共和国などへの支援にも遅れが生じ、燃料不足やトラック不足が物流をさらに圧迫している。加えて、燃料や肥料の供給混乱に伴う食料価格の上昇も、難民や国内避難民の生活を直撃している。

一方で、資金面の制約も深刻である。UNHCRが掲げる約85億ドルの支援計画は、現時点で2割強しか資金が集まっておらず、コスト増と相まって支援活動の持続性が危ぶまれている。

ホルムズ海峡は世界のエネルギー輸送の要衝であり、米イラン戦争の影響で海上輸送全体が混乱している。これにより、燃料価格の上昇や物流の停滞が連鎖的に発生し、人道支援だけでなく世界経済にも波及している。

UNHCRは封鎖が長期化すれば支援対象地域で飢餓や貧困がさらに悪化する可能性があると警告した。人道支援の遅れは単なる物流問題にとどまらず、数百万人規模の生活と安全に直結する課題となっており、国際社会の迅速な対応が求められている。

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