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マリのアルカイダ系組織、支配地域で市民に行政サービス提供、軍政との戦闘続く

JNIMは2017年に結成されたアルカイダ系組織で、これまで西アフリカのサヘル地域で活動を展開してきた。
国際テロ組織アルカイダ系の武装勢力「イスラム・ムスリムの支援団(JNIM)」の戦闘員(ロイター通信)

アフリカ西部・マリ共和国で勢力を拡大するアルカイダ系組織「イスラム・ムスリムの支援団(JNIM)」が支配地域において従来の過酷な統治手法を見直し、住民への支援や行政機能の提供を通じて影響力を強めていることが明らかになった。ロイター通信は専門家や地元住民の話しを引用し、「武力と恐怖による支配から、地域社会への浸透を重視する戦略へと転換している」と報じている。

中部のある集落では、JNIMの戦闘員が数カ月ごとに住民を集め、家畜や農作物に対する税を徴収している。一方で、集めた資源の一部を食料や医薬品、家畜として貧困層に再分配しているという。住民によると、JNIMは数年前まで宗教解釈に異議を唱えた者を脅迫していたが、現在では説得や宗教教育を重視し、露骨な暴力を控えるようになった。

JNIMは2017年に結成されたアルカイダ系組織で、これまで西アフリカのサヘル地域で活動を展開してきた。音楽や喫煙、結婚式などを禁じ、厳格なシャリア(イスラム法)の適用を強制することで知られていた。しかし近年は地域紛争の仲裁や治安維持、税の徴収といった準行政機能を担うようになり、一部地域では事実上の統治機構となっている。

こうした変化の背景には、マリの政治・治安情勢の悪化がある。2020年の軍事クーデター以降、軍事政権はフランス軍や国連平和維持部隊に退去を命じ、代わってロシア系部隊の支援を受けてきた。しかし、軍政による統治は地方部で十分に機能せず、住民の間でも軍や親政府勢力による人権侵害への不満が根強い。その空白を埋める形でJNIMが地域社会への浸透を進めている。

一方で、JNIMの穏健化は限定的なものとの見方もある。同組織は今年4月、首都バマコの空港や軍事施設を標的とする大規模攻撃に関与したほか、北部ではトゥアレグ系分離主義勢力「アザワド解放戦線(FLA)」と連携して軍事拠点を制圧した。軍政はJNIMをテロ組織と位置付け、対話の可能性を否定している。

専門家はJNIMが暴力を放棄したわけではなく、地域住民の支持獲得と長期的な支配体制の確立を目指して戦術を変化させていると分析する。行政サービスの提供や統治機能の整備は武装勢力が単なる反政府組織から事実上の行政主体へ変貌しつつあることを示している。軍政と国際社会にとって、軍事的対応だけでは解決できない新たな課題が浮上している。

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