◎被告は被害者と長い間友人関係にあったが、プロポーズを拒否されたことに憤慨し、計画的に殺害した。
2022年2月24日/パキスタン、首都イスラマバードの裁判所近く、ザヒル・ジャファー被告(Anjum Naveed/AP通信)

2月24日、パキスタンの裁判所は元外交官の娘を殺害したザヒル・ジャファー被告に死刑を言い渡した。被告は裕福な家庭で育ったと伝えられている。

ジャファー被告は2021年7月、元外交官の娘である幼馴染のヌール・ムカダム氏を首都イスラマバードの自宅で殺害した。警察によると、ムカダム氏は2日間拘束され、ナイフで殺害される前にレイプされていたという。

この事件はパキスタンに衝撃を与え、全国的な非難を引き起こし、メディアはその後の裁判を大きく取り上げた。

検察側は、被告は被害者と長い間友人関係にあったが、プロポーズを拒否されたことに憤慨し、計画的に殺害したと主張していた。

また検察は、ムカダム氏は被告の自宅から逃げ出そうとしたが、被告は警備員と料理人にムカダム氏を捕らえるよう命じたと述べ、事件の関係者に極刑を科すよう求めていた。

当時、ソーシャルメディアに投稿された動画には、ジャファー被告がムカダム氏を自宅まで引きずっていく様子が映っていた。

検察の報告書によると、被告はムカダム氏をレイプしたあとナイフで殺害し首を切り落とした。

裁判所は殺人に加担した警備員と料理人にそれぞれ10年の禁固刑、証拠隠蔽などの罪で起訴されていたジャファー被告の両親には無罪を言い渡した。

この裁判は国内で蔓延している女性への暴力に光を当てた。パキスタンでは毎年何百人もの女性が似たような事件で殺害されており、暴力や性的暴行を受ける人の数は年々増加している。ムカダム氏の家族、友人、人権活動家たちは正義を求める運動を組織し、ソーシャルメディアキャンペーン「#justice for noor」を展開した。

ムカダム氏の父親は弁護士を通じて声明を発表し、判決を歓迎した。

地元メディアによるとジャファー被告は逮捕された直後、「自分は米国民であるため、パキスタンで裁判にかけられることはない」と判事に訴えていたという。被告はパキスタンと米国の市民権を持っている。

人権NGOアムネスティ・インターナショナルは24日の声明で有罪判決を歓迎する一方、死刑には反対すると述べた。

一部の専門家は、「パキスタンの性犯罪検挙率は先進国に比べるとはるかに低いため、今回の判決は大きな意味を持つ」と指摘している。

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