◎カーン前首相の自宅近くには多くの支持者が野営し、機動隊の到着を待っていた。
2022年4月7日/パキスタン、南部カラチの繁華街(Fareed Khan/AP通信)

パキスタン東部ラホールで14日、カーン(Imran Khan)前首相の支持者と機動隊が衝突し、数十人が負傷した。

地元警察は逮捕状を無視して裁判所に出頭しなかったカーン氏の自宅を訪れ、別の逮捕状を渡す予定だったが、支持者に阻まれたと伝えられている。

地裁は先月末、資産隠しなどの疑いに関する公聴会を欠席したとしてカーン氏の逮捕状を発行。カーン氏はこれを無視したため、地裁は13日に別の逮捕状2通を発行した。

AP通信によると、カーン氏の自宅近くには多くの支持者が野営し、機動隊の到着を待っていたという。支持者は石やレンガを投げつけ、機動隊は催涙ガス弾で応戦した。

警察は声明で、「警察官12人と暴徒約35人が負傷した」と明らかにした。

SNSで共有された動画には暴徒が機動隊員につかみかかり、警棒で殴るところが映っていた。カーン氏の自宅周辺には石、レンガ、ゴミ、ガラス片や催涙ガス弾が散乱していた。

中露寄りのカーン氏は昨年4月に不信任決議で弾劾されて以来、政府・司法・軍を批判し、全国各地で集会を開催している。

カーン氏は不信任決議に米国が関与していると主張。「逮捕状はシャリフ(Shahbaz Sharif)首相の嫌がらせのひとつ」と主張している。

カーン氏は▽在任中に外国高官から受け取った贈答品の売却益を正しく申告しなかった罪▽集会で判事を口汚く罵り、脅迫した罪▽資産隠しなどの疑いに関する公聴会を欠席した法廷侮辱罪に問われている。

しかし、カーン氏は昨年11月の襲撃事件で脚を銃撃されて以来、体調に問題があるとして出廷を避けてきた。

カーン氏の弁護士は首都イスラマバードの地裁で必要な手続きを行ったものの、起訴を避けるために出廷は拒否するとしている。

カーン氏は逮捕状について、「ライバルの信用を失墜させようとするシャリフ政権の陰謀」と主張している。

シャリフ氏は14日、民間テレビ局のインタビューで、「カーン氏の逮捕状は司法が発行したものであり、行政は一切関与しておらず、政治的動機という野党の主張は間違っている」と語った。

国家警察の報道官も14日、ラホールの乱闘が発生する前の記者会見で、「我々は司法の決定に基づいて行動する」と強調した。

報道官はその後、カーン氏の自宅前で発生した乱闘事件について、「多くの警察官と民間人が負傷し、現場で応急手当てを受けている」と述べた。

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