◎ニューカレドニアにはこの地域の主要な軍事基地のひとつであるフランス軍基地がある。
2018年5月9日/フランス領ニューカレドニアの首都ヌメア(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

南太平洋ニューカレドニアの国民は、12月12日にフランスから独立するかどうかを決める予定である。

3度目の独立住民投票は南太平洋地域の安全保障に大きな影響を与える可能性があると懸念されている。2018年11月の住民投票では有権者の56.4%、2020年10月は53.3%が独立に反対した。

ニューカレドニア政府は1980年代前半の独立闘争を経て、1988年に締結されたマティニョン合意で多くの自治権を獲得した。フランス政府はこの協定に基づき、防衛、安全保障、外交、通貨の管理以外の権利をニューカレドニアに委譲した。

独立推進派は2回目の住民投票の際、各地で大々的なキャンペーン運動を展開し、コロナウイルスの感染拡大に拍車をかけた。ニューカレドニアは2020年9月初旬まで感染者ゼロを維持していた。

現地メディアによると、独立推進派はコロナ禍の投票に強く反対し、ボイコットを示唆しているという。1998年に締結されたヌーメア協定は、2014年から2018年の間および「2022年までに」独立住民投票を行う権利を保障している。

一方、独立反対派は南太平洋地域の安全保障問題を含む不確実性を終わらせるために、協定に基づき「2022年までに」投票を行うべきと主張した。フランスの連邦政府も協定を尊重し、当初の予定通り、12日に投票を行うことに決めた。

ニューカレドニアの観光産業はコロナの影響でひどく疲弊しており、今フランスの傘から抜けたいと思う住民は少ないと予想されている。また連邦政府は、独立を支持する住民は少ないという報告書を先日公表し、独立反対派の背中を押した。

ニューカレドニアの独立はインド太平洋地域の安全保障に大きな影響を与える可能性がある。

米英豪は今年9月、地域の新しい安全保障枠組みオーカス(AUKUS)を結び、インド太平洋地域で影響力を強める中国をけん制した。米英は協定に基づき、オーストラリアに原子力潜水艦の技術を提供する予定である。

ニューカレドニアにはこの地域の主要な軍事基地のひとつであるフランス軍基地がある。フランス軍は現在、米国、オーストラリア、ニュージーランド軍と協力してこの地域の海上監視、海上での捜索救助、機雷除去、違法漁業の取り締まりなどを行っている。

ニューカレドニア大学のキャロライン・グラベラット教授はAP通信のインタビューの中で、「今回の住民投票は以前とは異なり、ニューカレドニアの戦略的位置づけが主要な問題になっている」と語った。

またグラベラット教授は中国を念頭に置き、「南太平洋における中国の影響力を考慮すると、ニューカレドニアの独立は西側諸国の安全保障に大きな影響を与える可能性が高い」と指摘した。「西側は住民投票を注意深く見守っています...」

国連は住民投票を監視するための選挙オブザーバーを派遣している。太平洋諸島フォーラムも独立した選挙監視当局を派遣した。

仮に今回の投票で残留が決まったとしても、ニューカレドニアは永遠にフランスから独立できないというわけではない。ヌーメア協定はニューカレドニアの地位や取り決めに関する再交渉期間を18カ月間保障している。

フランス軍事学校戦略研究所は今年9月、ニューカレドニアに対する中国の影響力を調査した報告書を公表した。それによると、ニューカレドニアの在外華人は独立運動を煽っている可能性があるという。

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