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インド北部で牛密輸容疑者への警察銃撃が急増、イスラム教徒への偏見と捜査の不透明さに懸念

牛はヒンズー教徒の多くに神聖視され、牛の保護は政治的にも重要な争点となっている。
2025年4月15日/インド、北部ウッタルプラデシュ州郊外の集落(AP通信)

インド北部ウッタルプラデシュ州で、牛の密輸業者に対する警察の銃撃が相次ぎ、法の支配や宗教差別をめぐる懸念が強まっている。AP通信によると、警察は2020年以降、牛を密輸した容疑者を約650件にわたり銃撃し、負傷させてきた。身元を特定できた627人のうち、約93%がイスラム教徒だった。多くのケースで銃弾が膝下など脚に集中しており、捜査ではなく事実上の懲罰ではないかとの批判が出ている。

警察は容疑者が逃走したり発砲したりしたため、正当防衛として発砲したと説明する。一方、人権活動家や弁護士らは、容疑者を殺害せず脚を撃つ手法が常態化していると指摘。地元では「オペレーション・ラングダ(足を不自由にする作戦)」と呼ばれ、窃盗や強姦などの容疑者にも使われているという。

牛はヒンズー教徒の多くに神聖視され、牛の保護は政治的にも重要な争点となっている。モディ(Narendra Modi)首相と同州政府は犯罪に対する「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策を掲げ、強硬な治安対策を進めてきた。反対派はこうした政策がイスラム教徒への偏見を助長し、警察権力の乱用を招いていると訴える。

アラハバード高等裁判所は今年1月、容疑者の脚を撃つ警察の対応が常態化しているとして異例の批判を展開し、警察が司法制度に代わって処罰することは許されないと警告した。しかし、警察官の責任追及は限定的だ。州警察幹部は、発砲は自己防衛に限られ、宗教的偏見や昇進目的で行われているわけではないと反論している。

被害者家族は、銃撃によって働けなくなり、生活が困窮したと証言する。AP通信が取材したイスラム教徒の家族らは、報復を恐れて匿名を条件に、負傷者が収入を失い、借金や周囲からの援助に頼っている実情を語った。

同様の手法はハリヤナ州、ビハール州、ウッタラカンド州などにも広がっていると活動家は指摘する。犯罪対策の名の下で警察の実力行使が拡大すれば、少数派の権利と司法制度への信頼が損なわれる恐れがある。捜査の透明性確保と独立した検証が課題となっている。

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