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インド自動車業界、政府によるエタノール燃料の義務化を擁護

E20はガソリンに20%のエタノールを混合した燃料で、インド政府は原油輸入への依存度を下げるとともに、二酸化炭素排出量の削減やサトウキビ、トウモロコシなどを原料とする農業生産者の所得向上を目的として導入した。
2026年5月19日/インド、首都ニューデリーのガソリンスタンド(ロイター通信)

インド政府が導入したエタノール20%混合ガソリン(E20)を巡り、燃費の悪化や車両への悪影響を懸念する声が広がる中、自動車業界は4日、安全性に問題はないとして制度を擁護する姿勢を示した。政府と主要メーカーは共同記者会見を開き、長年にわたる試験や整備実績から、E20によるエンジン損傷や部品の腐食が広範囲で発生した証拠は確認されていないと説明し、国民に冷静な対応を呼び掛けた。

E20はガソリンに20%のエタノールを混合した燃料で、インド政府は原油輸入への依存度を下げるとともに、二酸化炭素排出量の削減やサトウキビ、トウモロコシなどを原料とする農業生産者の所得向上を目的として導入した。しかし、制度開始後は燃費の低下やエンジン性能への不安が利用者の間で広がり、SNSには「車の調子が悪くなった」「修理費が増えた」といった投稿が相次いでいる。政府が給油所でE20を標準燃料としたことで、消費者が燃料を選択できなくなったことへの不満も高まっている。

こうした批判に対し、国内最大手のマルチ・スズキ・インディアやヒーロー・モトコープ、トヨタ・キルロスカ・モーターなどは、E20対応として認証を受けていない旧型車を含め、数百万台規模の車両を点検・整備した結果、燃料に起因する重大な不具合は確認されなかったと説明した。マルチ・スズキは過去2年間に約1500万台の旧型車を整備した実績を示し、「E10仕様車をE20で試験しても懸念すべき問題は見つからなかった」と強調した。

一方で、業界側はE20の課題も認めている。エタノールはガソリンよりエネルギー密度が低いため、燃費は約3~3.5%低下すると説明した。ただし、オクタン価が高いという利点があり、将来的には圧縮比の高いエンジン設計が可能となることで、出力や加速性能、燃費の改善につながる可能性があるとしている。また、SNSで拡散したエンジン故障の事例については、燃料自体ではなく給油時の燃料汚染が原因だったケースも確認されたとし、E20との因果関係は認められないとの見解を示した。

インドでは今週、政府高官が法廷でE20を「実験」と表現したと受け止められる発言をしたことが波紋を広げ、制度への不信感が一段と高まった。政府は発言の趣旨が誤って伝えられたと釈明したものの、野党や市民団体は制度導入が拙速だったと批判し、抗議デモを計画している。政府は今後もE20を維持する方針で、より高い混合率の燃料を導入する場合は追加の試験を実施するとしている。エネルギー安全保障と環境対策を重視する政府と、燃費や維持費への影響を懸念する消費者との間で、エタノール政策を巡る議論は今後も続きそうだ。

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