◎香港の民主派勢力は中国の習近平 国家主席をプーさんに見立てて遊んでいる。
2018年3月18日/香港、「くまのプーさん」の人形を掲げるデモ隊(Vincent Yu/AP通信)

香港の映画配給会社は21日、イギリスのホラー映画「Winnie-the-Pooh: Blood and Honey(くまのプーさん、血と蜂蜜)」の一般上映を中止するよう命じられたと明らかにした。

同作はディズニーの人気キャラクター「プーさん」とピグレットが登場するホラー映画であり、イギリスの会社「Jagged Edge Productions」が制作した。

香港の映画配給会社「VII Pillars Entertainment」はフェイスブックに声明を投稿。「同作は大変遺憾ながら、香港およびマカオで上映できなくなった」と発表した。

同社の広報担当はAP通信の取材に対し、「映画館から上映できなくなったという連絡を受けたが、理由は分からない」と語った。

香港の民主派勢力は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席をプーさんに見立てて遊んでいる。あるフェイスブックユーザーは21日、「くまのプー近平が登場するホラー映画を世界中で同時上映すべきだ」と投稿した。

中国当局は2018年に公開された映画「プーと大人になった僕(原題:Christopher Robin)」の公開を許可しなかった。

ソーシャルメディアでは「映画館でも当局の取り締まりが進んでいる」という懸念が高まっている。

APによると、この映画は香港市内の約30の映画館で上映される予定だった。

映画配給会社は声明の中で、「管理当局はこの映画の上映を承認していた」と述べている。

一部の映画館はインスタグラムに声明を投稿。「この映画は技術的な理由で上映できなくなった」と主張した。

シンガポールCNAは専門家の話を引用し、「この映画が上映できなくなった理由は不明だが、当局の取り締まりは香港経済の中核のひとつである商業分野にも及んでいるように見える」と報じている。

2020年に施行された国家安全維持法は民主派勢力を叩きのめし、独立系メディアの活動を禁じ、子供向けの本まで取り締まるようになった。

当局は2021年、刑法を一部改正し、検閲官が法律に違反していると考えられる映画の上映をを禁止できるようにした。

市内ではこの2年間、検閲の対象となる映画が増え、そのほとんどが独立系制作会社による作品であった。

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