TikTokライブ配信でキス、男女にむち打ち刑 インドネシア
アチェ州は世界最大のイスラム教人口を抱えるインドネシアで唯一、刑事分野にシャリアを導入している地域である。
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インドネシア・スマトラ島北部アチェ州で2日、動画投稿アプリTikTokのライブ配信中にキスをした未婚の男女が、シャリア(イスラム法)に違反したとして公開むち打ち刑を受けた。処罰は州都バンダアチェ市内の公園で大勢の市民が見守る中で執行され、表現の自由や人権を巡る議論を呼んでいる。
処罰を受けたのは22歳の男性と25歳の女性。2人は今年2月、自動車内でライブ配信を行い、その最中にキスをした映像がインターネット上で拡散された。動画を見た人々から宗教当局に通報が寄せられ、4月に逮捕された。イスラム裁判所は婚姻関係にない男女による行為が州のイスラム法に違反すると認定し、それぞれ25回のむち打ち刑を言い渡したが、約4か月間の勾留期間を考慮して最終的に21回へ減刑した。証拠として押収された携帯電話やUSBメモリーは没収・廃棄が命じられた。
むち打ち壇上で執行され、宗教当局の職員が籐製のむちを用いて刑を実施した。当日はこの2人のほかにも、賭博や姦通などの罪で有罪となった4人が同様の処罰を受けた。州当局は公開むち打ちについて、違法行為を抑止し、社会規範を維持する教育的効果があると説明している。見物に訪れた市民の中には「警告になる」と処罰を支持する声も聞かれた。
アチェ州は世界最大のイスラム教人口を抱えるインドネシアで唯一、刑事分野にシャリアを導入している地域である。州は2006年、長年続いた分離独立紛争を終結させる和平合意の一環として特別自治権を与えられ、独自の宗教法を運用する権限を獲得した。その後、適用範囲は拡大され、姦通や婚外での親密な行為、飲酒、賭博などに対し、公開むち打ちや禁錮刑などの処罰が科されるようになった。
これに対し、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは2日、公開むち打ちは残虐で非人道的かつ人間の尊厳を傷つける刑罰であり、インドネシアが加盟する国際的な人権条約の理念にも反すると批判した。またアムネスティはSNS上での不適切な行為に対する社会的議論は必要だとしても、拘束や身体刑を伴う処罰は過剰だと指摘し、アチェ州政府に制度の見直しを求めた。
一方で州政府は地域社会の宗教的価値観と秩序を守るために現行制度は必要だとの立場を維持しており、宗教規範と人権との間の溝は今後も大きな課題となりそうだ。
