◎ソロモン諸島と中国は先月、物議を醸す安全保障協定に調印した。
2022年4月7日/ブリュッセルのNATO本部、オーストラリアのマリス・ペイン外相(Olivier Matthys/AP通信)

オーストラリアのペイン(Marise Payne)外相は6日、訪問先のソロモン諸島で外相と会談した。

AUSを含む太平洋諸国と米国は、ソロモン諸島と中国が先月締結した安全保障協定に深刻な懸念を表明している。

ペイン外相は声明で、「6日遅くにマネレ(Jeremiah Manele)外相と会談した」と述べた。「AUSはソロモン諸島の主権を尊重すると一貫して明確に表明してきましたが、中国との安全保障協定については、透明性の欠如を含め、深い懸念を改めて表明しました」

AUS外務省によると、両外相は「AUSはソロモン諸島の安全保障上のパートナーであり続け、ソロモン諸島内に外国軍の基地を設置しないことで合意した」という。

マネレ外相はまだ声明を発表していない。

ダン・テハン(Dan Tehan)観光相は7日、オーストラリア放送協会(ABC)のインタビューの中で、「両外相は非常に生産的な協議を行った」と評価した。

テハン氏は中国軍がソロモン諸島に進出すれば、太平洋地域の安全保障に深刻な影響を与えると警告した。「私たちはこの地域の軍事化がいかに危険か、安全保障と主権を守ることがいかに重要かを明確に提示しなければなりません」

テハン氏によると、ペイン外相とモリソン(Scott Morrison)首相は二国間の安全保障について議論したという。

モリソン首相は5月25日の選挙で4期目を目指しているが、ソロモン諸島の問題で中国に不意を突かれ、野党の批判に直面している。この問題は選挙戦の焦点になった。

ソロモン諸島と中国は安全保障協定の最終版を公表していないが、3月末にリークされた協定の草案によると、中国は「社会秩序を維持するために、ソロモン諸島の要請に基づき、中国軍(警察含む)の派遣を認める」としている。

また相手国の書面による同意がない限り、どちらも任務を公にすることはできない。

草案のリーク後、AUSのセセルジャ(Zed Seselja)国際開発・太平洋担当相はソロモン諸島に飛んだが、協定の締結を阻止することはできなかった。

野党労働党は当時、セセルジャ氏ではなくペイン外相を派遣すべきだったと指摘し、モリソン首相を批判していた。

労働党は7日の声明で、両外相の協議を歓迎した。

労働党はモリソン首相が協定締結後、ソロモン諸島のソガバレ(Manasseh Sogavare)首相と電話会談を行わなかったことも批判している。モリソン首相は情報当局の助言に従ったと説明した。

労働党はこの協定を、太平洋地域における第二次世界大戦以来最悪の外交政策の失敗と呼んでいる。労働党党首は5月の選挙で勝利すれば、ソロモン諸島とより緊密な関係を構築すると約束している。

一方、アンドリュース(Karen Andrews)内相は、「中国は(保守的な)モリソン政権の再選を阻むために、このタイミングで安全保障協定を締結した」と指摘している。

米国と日本も協定締結後、ソロモン諸島に代表団を派遣している。

米国の代表団は先月、ソガバレ首相に対し、「インド太平洋地域の安全保障に影響を与えるような行動を取った場合は対抗措置を取る」と警告した。

対抗措置の詳細は明らかにされていない。

ソガバレ首相は今週の議会演説で、協定に反対する国から「侵略する」と脅迫を受けたと主張した。

ソガバレ首相は国名は出さなかったが、協定を侮辱され、子供のように扱われたと憤慨した。

西側諸国は中国軍のソロモン諸島進出を懸念しているが、ソガバレ首相は島内に中国軍基地が建設されることはないとしている。

一部の専門家はソガバレ首相が中国の「債務トラップ(過剰融資)」に引っ掛かり、債務で首が回らなくなった時点で中国が借金と引き換えに基地建設を要求する可能性があると警告している。

2019年10月9日/中国、北京の人民大会堂、李克強首相とソロモン諸島のソガバレ首相(Thomas Peter/Pool/AP通信)
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