▽米政府は10日、独裁者のマドゥロ大統領が3期目をスタートさせたことを受け、高官8人に新たな制裁を科し、さらにマドゥロ氏にかけている報奨金を1500万ドルから2500万ドルに引き上げた。
ベネズエラ政府が11日、米英とEUによる新たな制裁を非難した。
国防省のラレス(Domingo Hernandez Larez)将軍はSNSに声明を投稿。「ベネズエラ軍は悪名高い帝国主義的な者どもが科した新たな制裁を断固拒否する」と書いた。
またラレス氏はこの制裁を「国際法から逸脱した絶望的な行動」と呼んだ。
米政府は10日、独裁者のマドゥロ(Nicolas Maduro)大統領が3期目をスタートさせたことを受け、高官8人に新たな制裁を科し、さらにマドゥロ氏にかけている報奨金を1500万ドルから2500万ドルに引き上げた。
内相にも2500万ドル、国防相には1500万ドルの報奨金をかけている。
米司法省は2020年、麻薬密売や汚職などの罪でマドゥロ氏らを起訴した。
マドゥロ氏は告発を拒否。「ベネズエラ政府は麻薬密売組織を厳しく取り締まっている」と主張している。
イギリスとEUも政府高官を含む15人を制裁リストに追加。カナダも新たな制裁を科した。
ベネズエラの経済は米政府によるマドゥロ政権への厳しい経済制裁とマドゥロ氏の後先考えないバラマキ政策で急速に悪化。GDPはマドゥロ氏が就任した2013年以降、右肩下がりとなり、2021年には10年前の2割以下に落ち込んだ。
現在のGDPはピーク時の4分の1となり、その結果、800万人近くが国外に流出。その多くが他の中南米諸国を経由して米国への移住を目指している。
マドゥロ氏に忠誠を誓う選挙管理委員会は昨年7月の大統領選の集計結果を公表せず、マドゥロ氏が得票率51%で勝利したと宣言した。
しかし、野党陣営は全国の電子投票機が印刷した集計表の80%以上を確保・精査した結果、全野党の統一候補であるゴンザレス(Edmundo González)氏の得票数はマドゥロ氏に2倍以上の差をつけていたことが明らかになった。
米国やEUを含む数十カ国が選挙の勝者をゴンザレス氏と認定。選管に透明性のある集計結果を公表するよう呼びかけてきた。
しかし、最高裁判所は8月末、マドゥロ氏の勝利を認定。さらにカラカスの地方裁判所は9月、ゴンザレス氏が選挙結果を捏造し、暴動を煽ったなどとして逮捕状を発行した。
この結果、ゴンザレス氏はスペインへの亡命を余儀なくされた。
ゴンザレス氏は10日の就任式で宣誓すると表明していたが、実現しなかった。