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ペルー大統領選、選挙管理当局トップが混乱の責任取り辞任

問題の発端は12日に行われた大統領選の投票過程で発生した深刻な物流上の不備である。首
2026年4月21日/ペルー、首都リマ、大統領選に立候補した左派のロベルト・サンチェス氏(中央)と支持者(AP通信)

南米ペルーで4月12日に行われた大統領選挙を巡り、選挙運営の混乱に対する批判が高まる中、選挙管理当局のトップが辞任に追い込まれた。政治不信が根強い同国において、選挙の公正性と信頼性をめぐる問題が改めて浮き彫りとなっている。

辞任したのは選挙運営を担う全国選挙管理委員会(ONPE)のコルベット(Piero Corvetto)委員長。自らの不正関与を否定しつつも、国民の信頼回復を優先する必要があるとして21日に辞意を表明した。特に6月7日に予定されている大統領選決選投票を前に、選挙制度への不信が拡大することを避ける狙いがあったとみられる。

問題の発端は12日に行われた大統領選の投票過程で発生した深刻な物流上の不備である。首都リマを中心に投票用紙や資材の配布が遅れ、複数の投票所が予定通り開設できなかった。この影響で数万人規模の有権者が投票機会を失い、異例の翌日延長に追い込まれた。

さらに、開票作業も大幅に遅れた。票の一部には不備や異議申し立てが相次ぎ、再審査に回されたことで、最終結果の確定は5月中旬に後ろ倒しされた。ONPEは5月15日を期限に最終結果を公表するとしているが、先行きは不透明なままだ。

こうした混乱を背景に、一部候補や支持者からは不正選挙を疑う声が上がった。特に上位争いをしている候補は証拠を示さないまま不正を主張し、再選挙を求めるなど、政治的対立が激化している。ただし、欧州連合(EU)の選挙監視団は物流上の問題を認めつつも、組織的な不正の証拠は確認されていないと報告している。

今回の選挙では30人以上の候補が乱立し、いずれも過半数を得られなかったため、上位2人による決選投票が6月7日に実施される予定である。開票途中の段階では、右派のケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏が首位に立ち、2位争いは左派と保守強硬派の候補が僅差で競り合う展開となっている。

ペルーはこの10年で大統領が頻繁に罷免・逮捕されるなど政治不安が続いており、今回の選挙もその延長線上にある。汚職問題や治安悪化への不満が国民の間で高まる中、選挙運営の混乱は政治制度全体への不信感をさらに増幅させる結果となった。

コルベット氏の辞任は事態収拾への一歩とみられる一方、制度的な課題の解決は見通せない。選挙の信頼性をいかに回復するかが、今後の最大の焦点となる。決選投票を控え、選挙管理体制の立て直しと透明性の確保が強く求められている。

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