◎ペトロ大統領は宣誓から24時間足らずで、富裕層と石油収入への課税を含む税制改革案を国会に提出した。
2022年8月8日/コロンビア、首都ボゴタの大統領府、ペトロ新大統領(Fernando Vergara/AP通信)

コロンビアのペトロ(Gustavo Petro)大統領は8日、貧困を解消する政策の一環として、年間110億ドルを調達できる野心的な税制計画を発表した。

元左翼ゲリラのペトロ氏は7日に就任し、経済的不平等を是正し、60年近く続く内戦を終結させると約束した。右派の準軍事組織、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」や「民族解放軍(ELN)」などが関与する内戦の犠牲者は45万人以上と推定されている。

ペトロ氏は宣誓から24時間足らずで、富裕層と石油収入への課税を含む税制改革案を国会に提出した。

地元メディアによると、ペトロ氏は75万ドル以上の純資産を持つ個人に対する富裕税や、加工度の高い食品への課税などを目指しているという。

反政府ゲリラ「4月19日運動(M-19)」の元戦闘員であるペトロ氏は、貧困を解消し、土地改革や農村部の開発を行うためには、富裕層への課税と貿易収支の黒字転換が必要不可欠と述べている。

またFARCと和平協定を結ぶためには、貧困層に寄り添った改革が必要と訴えている。

コロンビアの2020年の税収はGDPのおよそ19%を占めたものの、南米国家の平均をわずかに下回っている。OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国の税収は、平均してGDPの約33%を占める。

コロンビアでは国民の多くがインフォーマルセクターで働いているため、政府は税金の徴収に苦労してきた。

保守派のドゥケ(Ivan Duque)前大統領は昨年、所得税と消費税の一部を引き上げ、大規模な抗議デモに直面した。このデモでは50人が死亡したと報告されている。

ペトロ氏は声明の中で、「新政府の税制計画は上位2%の富裕層を対象としている」と述べた。

ペトロ氏は7日の就任演説でも課税に触れ、「裕福な世帯は政策を受け入れなければならない」と述べていた。「これは罰ではありません。人口の大多数を占める貧困層は、ごく一部の限られた個人が資産を独占していることを知っています。これは単なる支払いのひとつに過ぎません」

大統領府によると、ペトロ政権は株式の配当金に対する税率を2倍にし、コロンビアに拠点を持たないデジタル企業の商品にも課税したいと考えている。

国会がこの計画を承認すれば、ネットフリックスやアマゾンのデジタル商品などが課税の対象となり、デジタル映画や本の価格が上がるかもしれない。

ペトロ政権は他の左派政党との連立を模索しているとみられる。ガビリア(Carlos Gaviria)元大統領率いる自由党は連立に参加するとみられ、他の左派政党が参加すれば、過半数に達するかもしれない。

国会は計画案の審議時期を明らかにしていない。

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