SHARE:

ペルー大統領選、開票進まず、選挙管理当局に批判殺到


問題となっているのは、選挙運営を担う全国選挙管理委員会(ONPE)のコルベット(Piero Corvetto)委員長である。
2026年4月12日/ペルー、首都リマ、右派のケイコ・フジモリ氏(ロイター通信)

南米ペルーで4月12日に行われた大統領選挙の開票作業が長期化する中、選挙管理当局トップの解任を求める声が強まっている。混乱の長期化は政治的不確実性を高め、国内外に波紋を広げている。

問題となっているのは、選挙運営を担う全国選挙管理委員会(ONPE)のコルベット(Piero Corvetto)委員長である。12日の投票後、開票の遅れや運営上の不備が相次いで指摘され、企業団体や政治家の間で辞任を求める声が急速に広がっている。

開票率は17日午前の時点で約93%、結果はいまだ確定していない。右派のケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏が得票率約17%で首位を維持する一方、決選投票に進む2位争いは接戦となっている。左派のロベルト・サンチェス(Roberto Helbert Sánchez Palomino)氏と強硬右派のアリアガ(Rafael López Aliaga)氏の差は1万3000票程度にとどまり、最終結果は数週間かかる可能性があると指摘されている。

開票の遅れの背景には投票所での記録不備や書類の欠落などがあり、全体の約5%の票が再審査の対象となっている。この票は選挙審査機関がチェックし、結果確定をさらに遅らせている。

さらに、選挙当日の運営混乱も問題視されている。一部地域では投票用紙の配送遅れや機材トラブルが発生し、首都リマなどで投票時間の延長を余儀なくされた。こうした事態は不正疑惑を招き、特にアリアガ氏は開票停止を求めるなど批判を展開している。

ただし、国際的な監視団は現時点で不正の証拠は確認されていないとしている。欧州連合(EU)の選挙監視団は運営上の問題を認めつつも、結果を左右するような不正操作は見られないと報告した。

それでも国内の不信感は強く、司法当局も動き始めている。選挙を監督する全国選挙審議会(JNE)はコルベット氏に対して刑事告発を行い、投票権侵害などの疑いで捜査が進められている。また、投票関連資料が路上で発見される事案も発生し、警察による調査も行われている。

こうした混乱は市場にも影響を及ぼしている。特にサンチェス氏が掲げる憲法改正や資源の国営化といった政策は投資家の警戒感を煽り、選挙結果の不透明さが経済の先行きへの不安を増幅させている。一方で、上下両院は右派寄りになる可能性が高く、急進的な政策転換は抑制されるとの見方も出ている。

ペルーは過去10年で8人の大統領が交代・逮捕されるなど、政治的不安定が続いてきた。今回の選挙もその延長線上にあり、制度運営への信頼が改めて問われている。

最終的な焦点は開票の透明性と結果の正当性をいかに確保するかにある。決選投票は6月に予定されているが、その前提となる第1回投票の信頼性が揺らげば、政権の正統性そのものにも影響しかねない。選挙管理体制の立て直しと政治的安定の回復が今後のペルーにとって大きな課題となっている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします