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トルコ外相「米国が欧州の安全保障体制から撤退すれば破壊的な結果招く」


フィダン氏は具体的な協議内容には言及しなかったが、米国の欧州安全保障枠組みからの離脱が「無秩序に」進めば、欧州の安定に重大な悪影響を及ぼす可能性があると強調した。
トルコのエルドアン大統領(Bloomberg)

トルコ政府は18日、米国が欧州の安全保障体制から部分的または全面的に撤退する可能性について、それが適切に調整されない場合には欧州にとって「破壊的な結果になり得る」と警告した。

トルコのフィダン(Hakan Fidan)外相は南部アンタルヤで開催された外交フォーラムでこの見解を示し、関係国間でその影響を管理・緩和するための協議が進んでいると述べた。

フィダン氏は具体的な協議内容には言及しなかったが、米国の欧州安全保障枠組みからの離脱が「無秩序に」進めば、欧州の安定に重大な悪影響を及ぼす可能性があると強調した。背景にはトランプ(Donald Trump)大統領が北大西洋条約機構(NATO)への不満を繰り返し表明し、欧州諸国の防衛負担や中東情勢をめぐる対応を巡って緊張が高まっている事情がある。

トランプ政権は欧州における軍事的関与の見直しを示唆し、一部ではNATOからの離脱や駐留部隊の削減が議論されている。これに対し欧州側では防衛体制の弱体化への懸念が広がっている。実際、米国は既に一部の欧州向け兵器供給の延期を通告し、ウクライナ情勢や中東戦争による兵器需要の増大が影響している。

トルコはNATO加盟国でありながら、欧米とロシアの間で独自の外交政策を展開してきた経緯がある。そのため欧州安全保障の将来像に関しても、単なる軍事問題ではなく地政学的バランスの問題として発言しているとみられる。フィダン氏は米国の関与が弱まる可能性に備え、欧州諸国が自らの防衛能力を強化すると同時に、米国との関係を再構築する必要があると指摘した。

トルコ側は今後予定されているNATO首脳会議を重要な転換点と位置づけている。関係修復の機会とする一方で、仮に米国の関与が縮小する場合には、その影響を段階的に管理する枠組みが必要だとの立場を示した形だ。これは欧州の安全保障が米国依存から脱却する過程で、急激な空白が生じることへの懸念を反映している。

一方、NATOのルッテ(Mark Rutte)事務総長は米国の不満を理解する姿勢を示しつつも、多くの欧州諸国が依然として米国の安全保障政策を支えていると述べている。米側でも欧州駐留軍の再編や縮小が検討されているが、完全撤退ではなく調整を伴う形で進む可能性が高いとみられる。

今回のフィダン氏の発言は欧州安全保障の将来が米国の政策動向に大きく左右される現状を改めて浮き彫りにしたものとなった。米国の関与低下が現実化した場合、NATOの枠組みや欧州の防衛協力体制は大きな再編を迫られる可能性がある。欧州諸国は同盟の維持と自立的防衛能力の強化という二重の課題に直面している。

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