自然食品に含まれる糖分は健康に良い?知っておくべきこと
ホールフード由来の糖は繊維や微量栄養素を含む点で一定の利点はあるものの、体内での基本的な作用は従来の砂糖と大きく変わらない。
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近年、健康志向の高まりを背景に、「白砂糖よりも天然由来の甘味料の方が健康的ではないか」という認識が広がっている。ナツメヤシ(デーツ)や蜂蜜、メープルシロップなど、いわゆる「ホールフード由来の糖」に注目が集まり、食品売り場やSNSでも代替甘味料として盛んに取り上げられている。しかし専門家の見解は必ずしも単純ではない。
米イェール大学医学部のネイト・ウッド(Nate Wood)医師は「代謝の観点では、蜂蜜やメープルシロップ、デーツシロップ、ココナッツシュガー、そして白砂糖も基本的には同じ“糖”である」と指摘する。いずれもカロリーを持ち、血糖値を上昇させる点で大きな違いはないという。自然由来であることがそのまま健康優位性を意味するわけではないという見方だ。
管理栄養士のマヤ・フェラー(Maya Feller)氏も蜂蜜などの甘味料には微量のビタミンやミネラルが含まれるものの、その量はごくわずかで「栄養面で決定的な差になるほどではない」と説明する。例えば蜂蜜大さじ1杯には約15グラムの炭水化物が含まれ、体内では単純糖として処理されるため、白砂糖と同様に扱われる。
一方で、一定の違いが生じるのは「食物繊維の有無」である。ウッド氏によると、繊維は消化を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑える働きがある。液体状の甘味料である蜂蜜やシロップ類はほとんど繊維を含まないが、デーツをすりつぶしたペーストのように、果実の形を保ったまま摂取する場合は繊維が残り、糖の吸収が緩やかになる。この点が「より健康的」と評価される理由の一つである。
また、デーツは食物繊維に加えてカリウムや抗酸化物質なども含むため、単なる甘味料以上の栄養価を持つ。こうした特徴から、ナッツやチョコレートと組み合わせた「デーツスイーツ」がSNSで流行し、加工菓子の代替として注目されている。しかし専門家は、こうした食品であっても「摂取量が増えれば糖とカロリーの過剰摂取になる点は変わらない」と注意を促す。
さらに、米国の食事ガイドラインでは「添加糖」の摂取量を1日50グラム未満、総カロリーの10%未満に抑えることが推奨されている。ここでいう添加糖には白砂糖だけでなく蜂蜜やアガベシロップなども含まれる 。つまり「天然」や「オーガニック」と表示されていても、摂り過ぎれば健康リスクは同様に高まる。
近年は超加工食品の増加が肥満や糖尿病などの慢性疾患と関連しているとの研究もあり、「食事全体の質」が重要視されている 。その中で、精製糖の代わりに果物などの未加工食品を取り入れること自体は、食生活の改善につながる可能性がある。ただし、それは「甘味料の種類を置き換えるだけ」で達成されるものではない。
フェラー氏は「重要なのは食事全体のパターンであり、一つの食品や流行のレシピだけで健康状態が大きく改善することはない」と指摘する。栄養価の高い食品を継続的に取り入れることが不可欠で、流行の“ヘルシー甘味料”に依存するだけでは不十分だという。
結局のところ、ホールフード由来の糖は繊維や微量栄養素を含む点で一定の利点はあるものの、体内での基本的な作用は従来の砂糖と大きく変わらない。専門家が共通して強調するのは「何を選ぶか」以上に「どれだけ摂るか」で、過剰な甘味への依存を減らすことが最も重要である。
