SHARE:

ブラジル警察、バンコ・マスターの広報活動に関与した幹部を捜査対象に

警察はミランダ氏が中央銀行への批判を組織的に展開し、インフルエンサーを起用してバンコ・マスターに有利な情報発信を行わせた疑いがあるとみている。
2025年11月18日/ブラジル、サンパウロ市、商業銀行バンコ・マスターの支店前(ロイター通信)

ブラジル連邦警察は9日、経営破綻した商業銀行バンコ・マスターを巡る金融スキャンダル捜査の一環として、同行の広報戦略に関与したチアゴ・ミランダ(Thiago Miranda)氏を対象に家宅捜索などを実施した。これまで参考人と位置付けられていた同氏は容疑者として捜査対象となり、事件は金融不正だけでなく、世論操作や当局への不当な働き掛けを含む広範な疑惑へと発展している。

捜査当局によると、ミランダ氏は同行の筆頭株主だった実業家ダニエル・ボルカロ(Daniel Vorcaro)被告に雇われ、広報活動を統括していた。最高裁判所のメンドンサ(André Mendonça)判事が令状を発付し、警察が複数の関係先を捜索するとともに、電子機器や文書、現金などを押収した。

警察はミランダ氏が中央銀行への批判を組織的に展開し、インフルエンサーを起用してバンコ・マスターに有利な情報発信を行わせた疑いがあるとみている。また、バンコ・マスターに批判的な報道を行ったジャーナリストへの脅迫や、関係者の個人情報を不正に収集・監視しようとした疑いについても調査を進めている。

捜査にはミランダ氏とボルカロ被告の間で交わされたメッセージも含まれている。警察は両者がバンコ・マスターに批判的な人物や機関に関する情報収集を進めていた可能性があるとみており、その対象にはブラジル最大手金融機関イタウ・ウニバンコのCEOも含まれていたとされる。一方、イタウ・ウニバンコは今回の件についてコメントを控えている。

バンコ・マスターは2025年、資金繰りの悪化を受けて中央銀行から清算命令を受けた。その後、ボルカロ被告は金融不正や資金洗浄などの疑いで逮捕され、警察は同行を巡る巨額不正事件の全容解明を進めてきた。今回の捜査では金融犯罪そのものに加え、世論形成や政策決定に影響を及ぼそうとした組織的な情報工作の実態が新たな焦点となっている。

警察は銀行側が世論や行政機関への影響力を強めるため、多様な手段を用いて組織的な活動を展開していた可能性があるとみている。金融機関による不正行為に加え、民主的な意思決定や報道の自由を損なう恐れのある行為が行われていたとすれば、事件の社会的影響はさらに大きくなる。捜査当局は押収した資料の解析を進め、関係者の関与の有無や情報工作の実態について解明を急ぐ方針である。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします