SHARE:

米ニューヨーク州で3Dプリンターによる銃器製造を防ぐ法律導入、ゴーストガン対策

ゴーストガンとは、製造番号が付されておらず、購入時の身元確認や登録を経ずに製作できる銃器の総称である。
2025年10月15日/米ニューヨーク市のマンハッタン地裁、3Dプリンターで作った拳銃(AP通信)

家庭や企業で利用される3Dプリンターを使った銃器製造を防ぐため、ニューヨーク州が全米初となる新たな規制を導入した。新法は3Dプリンターに銃器の設計図を検知して印刷を停止する機能の搭載を求めるもので、急増する「ゴーストガン」対策の一環として注目を集めている。

ゴーストガンとは、製造番号が付されておらず、購入時の身元確認や登録を経ずに製作できる銃器の総称である。近年は3Dプリンターの性能向上と価格低下に伴い、インターネット上で公開されている設計データを利用して個人が自宅で銃器や部品を製造する事例が増加している。司法省によると、犯罪現場などで回収された自家製銃器は2017年の約1600丁から2023年には約2万7500丁へと急増した。

ニューヨーク州の新法では、専門家委員会が銃器設計図を識別するアルゴリズムの基準を策定し、その基準を満たした検知システムを3Dプリンターに搭載することを義務付ける。システムは印刷前に設計データを解析し、銃器やその主要部品と類似すると判断した場合、印刷を拒否する仕組みだ。規制の本格施行は2029年以降を予定している。カリフォルニア州でも同様の法案が審議されており、全米への波及も予想されている。

一方で、この規制の実効性には疑問の声も上がる。3Dプリンター業界関係者は、設計データをわずかに変更するだけで検知を回避できる可能性があると指摘する。また、誤認識によって無害な製品の設計まで印刷できなくなる恐れもある。さらに、クラウド上でデータを解析する方式が採用された場合、利用者の創作物や企業秘密が監視されることになり、プライバシー侵害につながるとの懸念も示されている。

これに対し、銃規制を支持する団体は、未成年者や前科者など合法的に銃を購入できない人々が3Dプリンターを利用して武器を入手するケースを防ぐ効果が期待できると主張する。技術革新によって個人でも高度な製造が可能になった現代において、社会の安全をどのように確保するかが問われている。

3Dプリンターによる銃製造をめぐる議論は、技術の自由な利用と公共の安全、さらにプライバシーや憲法上の権利とのバランスを巡る新たな課題として、今後も米国内で議論が続く見通しだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします