SHARE:

米ミネソタ州ミネアポリス警察、初動対応でドローン投入へ、懸念も

計画では警察が「ドローン・ファースト・レスポンダー」と呼ばれる仕組みを導入し、911番通報を受けると警察官より先にドローンを現場へ飛行させる。
ドローン(Getty Images)

米ミネソタ州ミネアポリスで警察がドローンを911番通報への初動対応に活用する実証実験の導入を計画していることを受け、市民の間で賛否を巡る議論が活発化している。市議会の公聴会には多くの市民が詰めかけ、犯罪対応の迅速化を期待する声がある一方で、プライバシー侵害や監視の拡大を懸念する意見が相次いだ。

計画では警察が「ドローン・ファースト・レスポンダー」と呼ばれる仕組みを導入し、911番通報を受けると警察官より先にドローンを現場へ飛行させる。上空から送られる映像を指令センターや警察官が確認することで、現場の状況を事前に把握し、より安全で効率的な対応につなげる狙いがある。まずは市北部の警察署管内で75日間の試験運用を実施し、その後も継続する場合は年間約15万ドルの費用が見込まれている。

警察はこの計画について、ドローンは警察官に代わるものではなく、危険な現場で状況確認を行う補助的な手段だと説明する。交通事故や銃撃事件、行方不明者の捜索などでは、現場到着前に情報を得られることで警察官や市民の安全向上につながるとしている。また、虚偽通報を早期に見極めることで、人的資源を効率的に配分できるとの期待も示している。

一方、公聴会では反対意見も根強かった。住民らは警察が当初の目的を超えてドローンを利用する可能性や、住宅地の上空から日常生活を監視されることへの不安を訴えた。導入企業が軍向けにもドローンを提供していることを問題視する声もあり、地域社会における警察活動が軍事的な色彩を強めるとの懸念も示された。住民からは「自宅上空に警察のドローンが飛んでいても、なぜ撮影されているのか分からない状況は受け入れられない」といった意見も出た。

ミネソタ州では2020年に制定された法律により、警察によるドローンの使用目的は緊急事態や公共の安全確保など一定の条件に限定されている。それでも専門家は、新たな監視技術を導入する際には市民への説明責任と透明性の確保が不可欠だと指摘する。警察がドローンをどのような場面で使用し、取得した映像をどのように管理するのかを明確にしなければ、市民の信頼は得られないとの見方だ。

全米では警察によるドローン活用が広がりつつあり、ミネソタ州内でも複数の自治体がすでに同様のシステムを導入している。ミネアポリスでの議論は治安対策の効率化と市民のプライバシー保護をどのように両立させるかという課題を象徴する事例として注目を集めている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします