◎国境付近にたむろ国境付近にたむろしていた抗議者たちは14日に緊急事態法が発動されたことを受け、撤退を決めた。
2022年2月16日/カナダ、首都オタワの抗議者(Adrian Wyld/The Canadian Press/AP通信)

2月16日、カナダ政府のコロナ対策に抗議するデモ、通称フリーダム・コンボイによる国境封鎖は解消したが、首都オタワの緊張は高まっている。

抗議者たちはカナダと米国を行き来するトラック運転手にワクチン接種が義務付けられたことに反対している。

警察当局によると、抗議者たちは米ノースダコタ州とマニトバ州の国境検問所付近から撤退したという。これで2週間以上続いた一部地域の国境封鎖はすべて解消した。

国境付近にたむろしていた抗議者たちは14日に緊急事態法が発動されたことを受け、撤退を決めた。

1988年に成立した緊急事態法は発動に高い法的ハードルを要求しており、カナダ国民の生命、健康、安全を著しく危険にさらすような緊急かつ重大な状況においてのみ発動可能と伝えられている。

トルドー政権は来週初めまでに上下両院の事後承認を得る必要があり、どちらかが否決すればその時点で法は取り消される。

首都オタワの警察は議会議事堂周辺にトラックを駐車している運転手に撤退を促すビラを配布した。警察の権限は緊急事態法で強化されており、トラックの強制撤去や運転手をより簡単に逮捕できるようなった。

あるトラック運転手はビラを破り捨て、「私は撃ち殺されても帰らない」と叫んだ。他の運転手もクラクションを鳴らし、警察に抗議した。

カナダ放送協会(CBC)によると、警察は取り締まりを強化する時期を明らかにしていないという。

CBCの取材に応じたトラック運転手は、「この国の自由を取り戻すために刑務所に行く必要があるのなら、私は喜んでこの身を捧げる」と語った。

デモ隊のためにスープを作っているケベック州の女性はAP通信に、「警察のビラはただの紙切れであり、政府が本当に取り締まりを強化するかどうかは疑わしい」と述べた。

ジャスティン・トルドー首相は16日、国境再開を歓迎したうえで、オタワの抗議者にあらためて撤退を呼びかけた。「取り締まりは警察の方針に基づいて行われます。政府はすでに警察に必要な権限を付与しています...」

フリーダム・コンボイはネオナチを含む極右団体や米国の保守派から寄付を集め、規模を拡大した。

デモの主催者はオタワに集結するよう支持者に呼びかけている。しかし、国の安全保障担当はオタワに近づかないよう警告した。

一方、カナダの2つの州と米国の16人の州知事はトルドー首相とジョー・バイデン大統領に書簡を送り、国境を越えるトラック運転手に対するワクチン義務を廃止するよう求めている。

オタワの住民はクラクションと大渋滞に激怒しており、一部の住民はトラック運転手に嫌がらせや脅迫を受けたと不満を漏らしている。

過去数週間、政府は人手不足と暴動への発展を恐れ、取り締まりの強化を躊躇していた。しかし、政府の無策に対する不満は急速に高まり、オタワ警察署長が更迭される事態に発展した。

CBCによると、オタワ中心部に駐車しているトラックは15日の時点で最高時の約4,000台から360台まで減少したという。

しかし、議会議事堂周辺の混乱は続いており、あるグループは議事堂近くの路上で子豚を丸焼きにし、パーティーを始めた。多くのトラック運転手が子供連れであることも問題視されている。

オタワの児童福祉局は子供連れの抗議者に、警察の取り締まりが強化される前に子供を退避させるよう助言した。

オタワのカールトン大学で国家安全保障を教えているステファニー・カーヴィン准教授はAP通信のインタビューの中で、「オタワの警察は厄介な状況に直面している」と述べた。「子供連れの抗議者を排除するのは勇気がいります。過激派の取り締まりも難しく、強制退去や逮捕に踏み切れば暴動に発展する可能性もあります...」

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