◎首都オタワは2月6日に非常事態を宣言し、自治体の権限を強化したうえで、デモの封じ込めにあたっている。
2022年2月7日/カナダのオンタリオ州と米国のミシガン州を結ぶアンバサダー橋(Daniel Mears/Detroit News/AP通信)

2月8日、カナダの警察当局は首都オタワで進行中の抗議デモは地域の住民と経済に深刻な影響を与える可能性があると警告した。

オタワは6日に非常事態を宣言し、自治体の権限を強化したうえで、デモの封じ込めにあたっている。

オタワの抗議デモ、通称フリーダム・コンボイは、米国とカナダを行き来するトラック運転手にワクチン接種を義務付ける法律が施行されたことで本格化し、全国に広がった。

このデモは米国のドナルド・トランプ前大統領、テスラのイーロン・マスクCEO、米フォックスニュースなどから支持を得ている。

オタワ警察は8日の声明で、フリーダム・コンボイに参加している抗議者の約4分の1が子供をデモに参加させていると述べた。

カナダ放送協会(CBC)によると、抗議デモに関連する捜査が少なくとも80件進行中で、これまでに少なくとも20人が逮捕されたという。

デモはおおむね平和的に行われているが、オタワ警察は集会に参加している極右団体がソーシャルメディアなどで危険な行動を呼びかけていると懸念を表明した。

極右団体は政府のコロナ対策だけでなく人種差別や同性愛者へのヘイトクライムを発信し、一部の暴徒は国立戦争記念館で花火を打ち上げ、ナチスの旗を掲げ、無名墓地の墓に小便をかけたと報告されている。

オタワ警官は市中心部の違法駐車の取り締まりを強化した結果、警察署を爆破するという爆破予告が届いたことも明らかにした。

CBCによると、オタワの中心部で違法駐車を取り締まっていた警官1人が暴徒に襲われ負傷したという。怪我の程度は明らかにされていない。

オタワ警察のベル副署長は記者団に対し、「オタワに来ないでください」と呼びかけた。「違法デモは重大な結果を伴います」

またベル副署長は、デモに参加したトラック少なくとも100台に児童が乗っていたため、騒音や衛生問題などを考慮し、児童扶助協会に連絡したことも明らかにした。

一方、オタワから1,200kmほど離れたオンタリオ州の国境付近でも大渋滞が発生し、トラック輸送に影響が出始めている。

フリーダム・コンボイへの支持を表明しているトラック運転手たちは米ミネソタ州デトロイトとオンタリオ州を結ぶアンバサダー橋の通行を阻止し、数百台の貨物トラックが迂回を余儀なくされた。

デトロイト川にかかるアンバサダー橋はカナダと米国を結ぶ重要な貿易ルートのひとつで、毎日3億2,000万ドル(約370億円)相当の貨物が行き来している。

ミシガン州とオンタリオ州の警察によると、橋はデモ隊の影響で7日の現地時間21時に閉鎖されたという。当局は貨物トラックと旅行者に注意を呼びかけている。

ミシガン州運輸局によると、橋の通行再開時期は未定で、カナダ行きの貨物トラックには別のルートを選ぶよう呼びかけているという。米国とカナダの企業団体はデモ隊を非難し、橋の速やかな通行再開を求めた。

オタワの住民は抗議する権利を擁護しつつも、クラクションと大渋滞に憤慨している。

オンタリオ州からデモに参加したトラック運転手はAP通信の取材に対し、「私たちは平和的に抗議している」と語った。「ここには愛と平和しかありません。私たちは自由のために声を上げているだけです...」

しかし、オタワの住民は大渋滞、騒音、ごみの違法投棄、立ち小便、花火大会、ナチスの鉤十字にウンザリした。

住民の女性はCBCのインタビューの中で、「ウンザリです」と語った。「彼らはオタワの住民を人質に取っています。首都はマヒしかけています」

警察にはトラックのクラクションに関する問い合わせが殺到しており、オタワの裁判所は7日、抗議団体に10日間クラクションを鳴らさないよう命じる判決を下した。

デモはトロントやバンクーバーなどにも拡散している。

アルバータ州は先週、ワクチンパスポートを含む州政府のコロナ対策の一部を停止すると発表した。同州は学校でのマスク着用を義務付けていたが、この規則も2月7日に廃止された。

アルバータ州のケニー州首相は対策の緩和について、「フリーダム・コンボイを考慮したわけではない」と述べ、デモの圧力に屈したという報道を否定した。

2022年2月8日/カナダ、首都オタワの中心部(Adrian Wyld/The Canadian Press/AP通信)
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