◎ロシア軍は民間インフラへの攻撃を否定している。
ウクライナ政府は24日、東部地域に対するロシア軍のミサイルや砲撃で民間人少なくとも22人が死亡、数十人が負傷したと発表した。
中部ドニプロペトロウシク州では鉄道駅が砲撃を受け、少なくとも15人が死亡。そのうち5人は列車内で焼死し、11歳の少年も別の空爆で死亡した。
ゼレンスキー（Volodymyr Zelensky）大統領は24日、国連安保理の演説中に駅が空爆を受けたと明らかにした。同氏によると、これまでに少なくとも50人の負傷者を確認したという。
ロシアはまだ声明を発表していない。ロシア軍は民間インフラへの攻撃を否定している。
ゼレンスキー氏は演説の中で、「ドニプロペトロウシク州が攻撃を受けたと知ったのは、この演説を準備している時だった」と述べた。
またゼレンスキー氏は客車が4両炎上したと報告を受けており、死者の数は増えるかもしれないと警告した。
ロシア軍は4月にも東部ドネツク州クラマトルスクの駅を空爆し、民間人50人以上を殺害している。
ゼレンスキー氏はロシア軍が独立記念日に合わせて攻撃を強化する可能性があると警告していた。
国連のグテレス（Antonio Guterres）事務総長はゼレンスキー氏の演説に先立ち、「無意味な戦争はウクライナの市民数百万人を極度の貧困に追いやる可能性がある」と警告した。
世界各地でウクライナの独立と戦争終結を訴える集会やデモが開催されている。
米国のバイデン（Joe Biden）大統領は過去最大規模の軍事支援（29億8000万ドル）を発表した。これで米国のウクライナ支援は150億ドル近くに達した。
イギリスのジョンソン（Boris Johnson）首相は首都キーウを電撃訪問し、5400万ポンド相当の追加軍事支援を提供すると発表した。
ドイツ、オーストラリア、フィンランド、ポーランド、トルコなど、世界各地から支援のメッセージが届いている。バチカンのフランシスコ教皇は戦争の終結と欧州最大規模のザポリージャ原発の核災害を回避するための具体的な行動を呼びかけた。
米国務省は民間インフラだけでなく政府施設も攻撃の対象になる可能性があると警告していたが、今のところ首都キーウで戦闘は報告されていない。
ウクライナはロシアが独立記念日に合わせて大規模攻撃を仕掛けてくる可能性があると警告し、集会やイベントを禁じている。
ロシア軍の戦車の残骸などを展示しているキーウの大通りや広場には市民が集まったものの、イベントや集会は行われなかったようだ。
ゼレンスキー氏の妻オレナ・ゼレンスカ（Olena Zelenska）氏は24日、この戦争で死亡した兵士や民間人を称える式典に出席し、黄色と青色の花を手向けた。
ウクライナ政府は今週初めに久しぶりに軍の戦死者数を更新し、これまでに兵士約9000人が死亡したと明らかにした。
ゼレンスキー氏は今週、「奪われた領土に関する交渉は一切受け付けず、2014年に併合されたクリミア半島を含むロシア軍に占領されたすべての領土を奪還する」と改めて表明した。
一方、ロシア国営メディアは侵攻開始から半年が経過したことにほとんど触れず、いつものように淡々と戦果を宣伝した。
ロシアは当初、短期間で決定的な結果を出すと主張し、西側の専門家もウクライナは厳しい戦いを強いられ、数日でキーウ陥落もあり得ると警告していた。
しかし、ウクライナ軍の抵抗は予想以上に激しく、西側の兵器供与も効果を上げ、ロシア軍はキーウから遠ざかり、それ以来、東部ドネツク州とルハンシク州に兵力を集中させている。
米シンクタンク「戦争研究所」などによると、ロシア軍はルハンシク州の州境界付近からドネツク州に攻め込もうとしているが、この数週間、ほとんど前進できていないという。
一方、ロシア当局は24日、ウクライナ侵攻に反対していた野党政治家ロイズマン（Yevgeny Roizman）氏を逮捕した。
国営タス通信などによると、ロイズマン氏はロシア軍の信用を失墜させたとして逮捕されたという。有罪が確定すれば懲役5年以下の実刑に処される可能性がある。
タス通信は当局者の話を引用し、「ロイズマン氏は逮捕される直前、ウクライナ侵攻と大きな声で叫んだ」と報じた。ロシアは侵攻を特別軍事作戦と呼んでいる。
人権団体「OVDインフォ（OVD-Info）」によると、ロシア国内でロイズマン氏と同じような理由で逮捕された人は1万6000人を超えたという。当局は街頭での抗議デモ、侵攻に関するSNSへの情報発信、特別軍事作戦を戦争や侵攻と呼んだ個人への取り締まりを続けている。
