スペイン全土で住宅危機に抗議するデモ、マドリードで7万人行進、家賃高騰と立ち退きに不満
今回のデモは住宅費の高騰が単なる不動産問題ではなく、生活の安定や若年層の将来設計にも関わる社会問題となっていることを示している。
.jpg)
スペイン各地で3日、深刻化する住宅危機への対応を政府に求める抗議デモが行われた。首都マドリードのデモ行進には約7万人が参加し、全国50都市で抗議活動が実施された。家賃の高騰や立ち退き問題への不満が広がる中、デモ参加者の一部はゼネラルストライキを呼びかけるプラカードを掲げた。
今回の抗議行動が拡大したきっかけの一つが、マドリードで87歳の女性マリカルメン・アバスカル(Mari Carmen Abascal)さんが立ち退きを迫られた問題である。70年間暮らしてきた住宅からの退去を余儀なくされたことで、住宅をめぐる社会問題への関心が一気に高まった。
これを受け、サンチェス(Pedro Sánchez)首相率いる政府は立ち退きの制限や賃貸住宅への規制などを盛り込んだ法案を議会に提出した。しかし、2日の採決で2つの法案はいずれも否決された。野党は住宅問題への対応として、規制だけでなく住宅供給そのものを増やす必要があるとの立場を示している。
議会での否決を受け、抗議運動はさらに広がった。マドリードでは参加者が住宅政策の転換を訴え、家賃負担の軽減や立ち退きの阻止を求めた。一方、バレンシアでは一部の参加者が暴徒化し、警察がゴム弾や催涙ガスを使用して排除する事態となった。その他の都市で暴力は確認されていない。
住宅問題をめぐる抗議は政府・議会に影響を及ぼす可能性がある。地元メディアは法案否決を受け、サンチェス氏が議会を解散し、11月にも前倒し総選挙を検討する可能性があると報じている。首相府はこの報道についてコメントを控えている。
今回のデモは住宅費の高騰が単なる不動産問題ではなく、生活の安定や若年層の将来設計にも関わる社会問題となっていることを示している。政府が住宅供給、賃貸規制、立ち退き対策をどのように組み合わせるのか、今後の政策対応が焦点となる。
