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グリーンランド女性への強制避妊、ジェノサイド該当を巡り調査報告が分裂

この問題は「スパイラル事件」と呼ばれている。
デンマーク領グリーンランド(Getty Images)

デンマークの保健当局が数十年にわたり、グリーンランドの先住民女性や少女に本人の十分な同意を得ないまま避妊処置を行っていた問題で、ジェノサイド(集団殺害)に該当するかを巡り、2つの調査報告書の結論が分かれた。グリーンランド政府は28日、調査結果を公表したものの、ジェノサイドが行われたかどうかについては判断を示さなかった。

この問題は「スパイラル事件」と呼ばれている。デンマーク側の説明によると、1960年代から1970年代半ばにかけて、約4000人のグリーンランド人女性や少女が子宮内避妊具(IUD)を装着された。当時のグリーンランドで妊娠可能な年齢にあった女性のおよそ半数に及んだという。被害を訴えた女性の中には12歳以下の少女も含まれ、本人に処置の詳しい説明が行われなかったり、同意を得ないまま避妊具を装着されたり、ホルモン注射を受けさせられたりしたケースが報告されている。

背景には、当時急速に増加していたグリーンランドの人口を抑制する狙いがあったとされる。グリーンランドでは生活環境や医療の改善によって人口が増加し、デンマーク当局による人口政策の一環として避妊措置が広範に実施されたとみられている。こうした措置は1990年代初頭まで続き、グリーンランドが医療行政を自ら担うようになったのは1992年だった。

今回公表された2つの報告書のうち、一方は「ジェノサイドはなかった」と明確に結論づけた。この報告書は、グリーンランドの人口、あるいはその相当部分を破壊する意図がデンマークやグリーンランドの当局、医療関係者にあったとする実証的証拠はないと指摘した。しかしグリーンランド政府は、この報告書について科学的な基準を満たしていないとの専門家の評価を理由に受け入れなかった。

一方、政府が受け入れたもう1つの報告書は、ジェノサイドだったとも、そうではなかったとも断定しなかった。強制避妊だけを対象にした調査では、先住民族を破壊する意図が存在したか判断できないとして、当時のデンマークによる子どもや家庭への政策など、より広範な行為を含めて追加調査する必要があるとした。

デンマーク政府は問題を認め、フレデリクセン(Mette Frederiksen)首相が前年に公式謝罪した。さらに8月27日には被害者1人当たり30万デンマーク・クローネの補償を承認した。グリーンランドのニールセン(Jens-Frederik Nielsen)首相は、両地域の関係を見直し、過去の問題を検証するため和解委員会を設置する方針を示している。

今回の調査結果は単なる医療上の人権侵害にとどまらず、デンマークとグリーンランドの歴史的な関係や先住民政策の在り方を改めて問うものとなった。特に、出生を妨げる措置を組織的に実施したことが、国連の1948年ジェノサイド条約が定める「集団内の出生を防止する措置」に該当するのかが今後の論点となる。

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