チェルノブイリ事故から40年、イタリアが原発回帰へ、議会上院が再導入法を承認
イタリアはかつて欧州の原子力先進国の一つで、4基の原子炉が稼働していた。
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イタリア議会上院は23日、原子力発電の再導入に向けた法案を承認した。1986年のチェルノブイリ原発事故を受けて原子力政策から離れて以来、約40年ぶりに同国が原発回帰への道を開くことになる。法案は賛成81ー反対51、棄権7で可決された。
イタリアはかつて欧州の原子力先進国の一つで、4基の原子炉が稼働していた。しかし、チェルノブイリ事故後の1987年の国民投票を経て原発政策を事実上終了し、既存施設の廃炉を進めてきた。2011年の福島第一原発事故後にも原発再導入が試みられたが、国民投票では約94%が新設計画に反対し、再稼働への動きは頓挫した。
今回の法整備を主導するメローニ政権は、原子力をエネルギー安全保障と脱炭素化を両立させる手段の一つと位置付ける。ロシアのウクライナ侵攻などを背景にエネルギー供給の安定性が課題となる中、政府は再生可能エネルギーだけでは将来の電力需要に対応できないとしている。
政府が想定しているのは、過去に稼働していた大型原発をそのまま復活させる方式ではない。小型モジュール炉(SMR)など次世代型の原子炉を中心に導入を検討しており、政府は最初の原子炉が稼働する時期について2033~35年ごろとの見通しを示している。
政府には原発を再開するための具体的な規則を整備する期間が与えられる。新たな原子炉の認可、安全基準、使用済み核燃料や放射性廃棄物の管理、建設場所などが今後の主要な論点となる。
一方、原発回帰には経済面からの異論もある。建設費の高さや完成までの長い期間を問題視する専門家もおり、原発が電力価格の短期的な引き下げにつながるわけではないとの指摘も出ている。
イタリアは今後、チェルノブイリと福島の記憶を抱えながら、エネルギー安全保障、脱炭素化、コスト、安全性という複数の課題を同時に検討することになる。
