「古臭い」から「おしゃれ」へ、英M&S、若者の支持を集めるブランドに変化
100年の歴史を持つ老舗が、過去のイメージを維持しながら現代の消費者に合わせてブランドを変えられるかが注目される。
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イギリスの老舗小売チェーン「マークス・アンド・スペンサー(M&S)」の衣料品が、若い世代の間で注目を集めている。かつては中高年向けで「古臭い」というイメージもあった同ブランドだが、近年はデザインや販売方法を刷新し、若い女性からも支持される存在へと変わりつつある。
M&Sは2026年9月、ロンドン・ファッション・ウィークに初めて参加した。ファッション分野への参入から100年を迎える節目に合わせたもので、同社のアーカイブから着想を得た婦人服と紳士服を披露した。43点の婦人服と10点の紳士服を含む計59ルックを発表し、従来のブランドイメージを残しながら現代的なデザインを取り入れた。
特徴的なのは、通常のファッションショーとは異なり、発表した商品をすぐ購入できる「シーナウ、バイナウ(See Now, Buy Now)」方式を採用したことだ。M&Sによると、ショーに登場した商品はオンラインや英国、アイルランドの一部店舗で販売され、コレクションの半分は50ポンド未満に設定された。
新たな商品には、フェイクファーのジャケットやサテンのジャンプスーツ、スパンコールのドレス、タッセル付きスカート、レース素材のトップスなどが含まれる。一方で、カシミヤ、ニットウェア、下着といったM&Sが長年扱ってきた定番商品も現代的に再構成している。英ヴォーグのチオマ・ナンディ(Chioma Nnadi)氏は、従来のM&Sらしさを残しながら新しい形にした点を評価している。
背景には若者の消費行動の変化もある。専門官によると、何度も着回せる基本的な衣服を少数そろえる「カプセル・ワードローブ」への関心が高まっており、一度着て終わるようなファストファッションから、耐久性や素材を重視する買い方へ意識が変化しているという。M&Sはこうした需要に、価格と品質の両面から対応している。
同社は店舗の刷新や若手デザイナーとの協業にも力を入れている。英国人デザイナーのマルコ・カパルド(Marco Capaldo)氏や、ストームジーのスタイリストとして知られるメリッサ・ホルブルック・アクポソエ(Melissa Holdbrook-Akposoe)氏らとの取り組みを通じ、若い消費者への訴求力を高めている。2026年にはF1英国グランプリでファッションショーを開催するなど、従来とは異なる発信も続けている。
M&Sは2022~23年に成長へ転じ、ファッション・ホーム・美容部門の市場シェアは2024~25年に10.5%まで上昇した。2025年のサイバー攻撃の影響で2025~26年は10.2%に低下したものの、衣料品を単なる生活必需品としてではなく、若い世代にも選ばれるファッション商品として再構築する動きは続いている。
100年の歴史を持つ老舗が、過去のイメージを維持しながら現代の消費者に合わせてブランドを変えられるかが注目される。
