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ハンガリー首相、オルバン前政権擁護の大統領に辞任要求、解任へ

マジャル氏はオルバン前政権下で選出されたシュヨク氏について、「国民統合の象徴としての役割を果たしていない」と批判してきた。
2026年5月29日/ベルギー、ブリュッセルのEU本部、ハンガリーのマジャル首相(ロイター通信)

ハンガリーで政権交代後の政治対立が激化している。4月の総選挙でオルバン(Viktor Orbán)前首相率いる与党フィデス・ハンガリー市民同盟を破ったマジャル(Péter Magyar)首相は6月1日、シュヨク(Sulyok Tamás)大統領が辞任要求に応じない場合、法的手続きによる解任に踏み切る考えを示した。

マジャル氏はオルバン前政権下で選出されたシュヨク氏について、「国民統合の象徴としての役割を果たしていない」と批判してきた。シュヨク氏は2024年にフィデスの支持を受けて大統領に就任したが、マジャル氏は同氏が前政権の利益を擁護し続けていると主張している。総選挙で圧勝した中道右派のTISZA(尊敬と自由)は議会で3分の2以上の議席を確保しており、憲法改正を含む強力な立法権限を握っている。

マジャル氏はこれまで、シュヨク氏をはじめとする前政権時代の高官らに対し、5月末までに辞任するよう求めていた。しかしシュヨク氏は要求を拒否し、自らの任期は2029年まで保障されているとして辞任の意思がないことを表明した。さらに、大統領職の強制的な解任は憲法秩序を損ない、ハンガリーの民主主義に悪影響を及ぼす可能性があると警告している。

これに対しマジャル氏は、大統領が辞任しなければ議会で必要な法案や憲法改正案の審議を開始すると述べた。政府関係者によると、解任手続きには約1か月を要する見通しだという。TISZAは司法機関や監査機関、メディア規制当局などにも前政権の影響が残っているとして、人事刷新を進める方針を掲げている。

ハンガリーの大統領職は主に儀礼的な役割を担うが、法律の公布を拒否して議会へ差し戻したり、憲法裁判所へ審査を求めたりする権限を持つ。このため、新政権が進める制度改革や欧州連合(EU)との関係修復に向けた法整備において、大統領が一定の影響力を行使できるとの見方がある。

オルバン政権下の16年間、ハンガリーは法の支配や民主主義をめぐってEUと対立を深めてきた。マジャル政権は発足後、国際刑事裁判所(ICC)からの離脱方針を撤回するなど、欧州との関係改善に向けた政策転換を進めている。今回の大統領をめぐる対立は、旧体制の影響力を排除しようとする新政権と、制度の継続性を重視する大統領側との間で繰り広げられる権力闘争として注目されている。

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