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ECB「インフレ急上昇でも賃金への波及みられず」エネルギー高の二次的影響を注視

レーン氏によると、物価上昇によって生活費が予想以上に増えていることを労働者側は認識している一方、企業側には賃上げを抑える要因がある。
欧州中央銀行(ECB)のロゴ(ロイター通信)

欧州中央銀行(ECB)は23日、2026年に入ってエネルギー価格の上昇を背景にインフレが加速しているにもかかわらず、賃金に大きな上昇圧力は確認されていないとの認識を示した。ECBのフィリップ・レーン(Philip R. Lane)専務理事がスイスでの講演で明らかにした。

レーン氏によると、物価上昇によって生活費が予想以上に増えていることを労働者側は認識している一方、企業側には賃上げを抑える要因がある。企業は中国企業との競争激化に加え、人工知能(AI)やロボットの導入によって人件費を抑制できる可能性を示しており、こうした環境が賃金交渉に影響しているという。

ECBが注視しているのは、エネルギー価格の上昇が賃金を押し上げ、それがさらに物価を高める「賃金・物価スパイラル」への発展である。現時点では、その動きは明確になっていない。9月のECB見通しでも、2026年の1人当たり雇用者報酬の伸び率は3.3%で、2025年の3.8%から鈍化する見込みとなっている。

9月のECB統計では、ユーロ圏の8月インフレ率は前年同月比3.3%増で、7月の2.9%から上昇した。特にエネルギー価格の上昇率は14.3%に達し、7月の10.3%から加速した一方、エネルギーと食品を除いたコアインフレ率は2.4%と、7月の2.5%から低下している。

賃金交渉の先行指標も、急激な上昇を示していない。ECBの賃金トラッカーでは、2026年の交渉賃金の伸びは一時金を調整したベースで2.2%、2027年前半は2.7%程度と予想されている。ただし、この指標は締結済みの労働協約を基にしており、将来の賃金を直接予測するものではない。

ECBにとって今後の焦点は、エネルギー高が賃金やサービス価格などへどこまで波及するかにある。物価上昇が続いても賃金への波及が限定されれば、インフレの長期化を抑える要因となる一方、企業や労働者の行動が変化すれば、現在のエネルギーショックがより広範な物価上昇につながる可能性も残っている。

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