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米国、イランが示した停戦案を検討中、膠着状態続く

イラン側の構想では、米国とイスラエルによる対イラン攻撃の停止と再開防止の保証を前提に、米国による海上封鎖の解除や、戦略的要衝であるホルムズ海峡の通航問題を解決する。
ホルムズ海峡を航行するイラン海軍の艦艇(Getty Images)

米国がイランとの戦争をめぐり、イラン側から提示された新たな停戦案の検討に入った。膠着状態が続く中、事態打開につながるかが注目されている。

現地メディアによると、トランプ(Donald Trump)大統領は27日、国家安全保障担当の高官らと協議し、イランが仲介国パキスタンを介して示した提案について議論した。提案は戦闘終結に向けた段階的な枠組みを示したもので、まず停戦とホルムズ海峡の正常化を優先し、その後に核問題など難航してきた争点を扱う内容とされる。

イラン側の構想では、米国とイスラエルによる対イラン攻撃の停止と再開防止の保証を前提に、米国による海上封鎖の解除や、戦略的要衝であるホルムズ海峡の通航問題を解決する。その後、核開発をめぐる協議に移行する段取りだという。

これに対し米国は、核問題の先送りに強い警戒感を示している。トランプ政権はいかなる合意もイランの核開発放棄を含む必要があるとの立場を崩していない。

今回の提案はパキスタンを仲介して米側に伝えられたとされる。両国はこれまで対面協議を模索してきたが、トランプ氏が特使団の派遣を取りやめるなど、現在は間接的な接触にとどまっている。

戦闘とその後の対立は2カ月にわたって続き、世界のエネルギー供給に深刻な影響を及ぼしている。ホルムズ海峡では船舶の往来が激減し、世界の石油輸送の2割を担う重要ルートの機能が低下している。米国による逆封鎖とイラン側の制限措置が重なり、多数の船舶が足止めされるなど、国際物流全体に混乱が広がっている。

さらに、レバノンでは親イラン武装組織ヒズボラとイスラエルの衝突が続き、地域全体の緊張が高まっている。イランはこうした地域紛争の停戦も包括的な合意の条件に含める姿勢を示しており、交渉を一層複雑にしている。

ロシアなど周辺国も仲介に動き、イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は各国を歴訪して支持を取り付けようとしているが、具体的な進展には至っていない。米国とイランの要求には依然として大きな隔たりがあり、短期的な打開は見通せない状況だ。

今回の提案は核問題という最大の争点を棚上げし、まず軍事的緊張の緩和と経済活動の回復を図る現実的なアプローチとも評価される。一方で、根本的な対立を先送りするだけに終わる可能性も指摘されている。

戦闘の長期化は中東の不安定化のみならず、世界経済にも影響を及ぼしている。米国がこの提案をどのように評価し、交渉再開に踏み出すかが、今後の情勢を左右する重要な分岐点となりそうだ。

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