◎シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。
2022年12月30日/シリア、東部デリゾール、ロケット攻撃を受けたバス(Getty Images)

シリア政府は30日、東部デリゾールで石油産業の関係者を乗せたバスがロケット攻撃を受け、少なくとも10人が死亡したと発砲した。

北部地域でクルド人民兵がイスラム国(ISIS)の戦闘員52人を拘束したと伝えられている。

シリア石油省によると、ロケット弾は東部デリゾールのガス田近くを走行していたバスを直撃したという。犯行声明は出ていないようだが、イギリスに本拠を置くNGO「シリア人権監視団」はISISが関与していると指摘した。

同監視団は30日の声明で、「この攻撃により、少なくとも12人の死亡を確認したと報告を受けている」と明らかにした。

一方、米中央軍とクルド人主導の民兵組織シリア民主軍(SDF)は30日、大晦日に計画されていたテロ攻撃を阻止したと発表した。

米中央軍によると、ISISの戦闘員は住宅地や農場に潜伏していたという。それ以上の情報は明らかにされていない。

米国が支援するクルド人民兵による対ISIS作戦はイラクとシリアにおけるISIS支配を崩壊させたが、その残党やイデオロギーを受け継ぐ者による攻撃は中東の広い範囲で続いている。

SDFは29日、ISISの攻撃が急増していることを受け、シリアに拠点を置く戦闘員を標的とする「アルジャジーラ・サンダーボルト作戦(Operation Al-Jazeera Thunderbolt)」を開始すると発表した。

シリア内戦の犠牲者は40万人近くに達し、国土の大部分は廃墟と化した。国連によると、人口の半数以上が避難民となり、数百万人がトルコなどの近隣諸国に逃亡したという。

ロシアの支援を受けるアサド(Bashar al-Assad)大統領は領土の大部分を奪還したが、北部の一部はトルコおよびクルド人民兵の支配下に置かれている。

シリアに駐留する米兵約900人はSDFなどを支援し、北東部地域に拠点を置くとされるISIS戦闘員を攻撃してきた。

米中央軍は29日、2022年のシリアとイラクにおけるクルド人部隊との対ISIS連携作戦を313件実施したと報告した。この作戦で死亡したISIS戦闘員は466人。215人が逮捕された。

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