◎サウジは麻薬撲滅に向けた取り組みを推進しており、密輸は死刑に処される可能性がある。
サウジの麻薬取締局が公開した写真、アンフェタミン錠剤(General Directorate of Narcotics Control)

サウジアラビア当局は31日、小麦粉に紛れて密輸されたアンフェタミン錠剤約4700万錠を押収したと発表した。

サウジの麻薬取締局であるCDNC(General Directorate of Narcotics Control)は首都リヤドの港でブツを押収したと明らかにした。

CDNCによると、密輸に関与したとされるシリア人6人とパキスタン人2人を逮捕したという。

GDNCはアンフェタミンの種類を明らかにしていないが、サウジはアンフェタミン系覚せい剤カプタゴンの世界最大の取引市場である。

カプタゴンは1960年代初頭にドイツで特許を取得した薬剤の商品名で、フェネチリンというアンフェタミン系の興奮剤を含み、注意欠陥やナルコレプシー(強い眠気に襲われる、眠ってしまう病気)などの治療に使用されてきた。

カプタゴンはその後違法薬物に指定され、現在は主に中東で生産・消費されるようになった。西側諸国で「スピード」と呼ばれる覚せい剤がこれに近い効果を持つ。

カプタゴンはサウジの裕福な若者の間で最も人気のある薬物の1つと考えられている。

専門家によると、カプタゴンは比較的簡単に入手可能で、社会的制約の多いサウジ、イラク、UAE(アラブ首長国連邦)などで人気を集めているという。

シリア内戦でもカプタゴンが出回り、多くの戦闘員が恐怖心を薄れさせるために接種しているようだ。

ニューラインインスティチュート(New Lines Institute)が最近公表したレポートによると、カプタゴンの取引は世界的に急拡大しており、昨年の取引価格は57億ドルに達したとみられる。

GDNCは今回押収した4691万6480錠のアンフェタミン錠剤について、「1回当たりの押収量としては過去最大」と述べている。

サウジは麻薬撲滅に向けた取り組みを推進しており、密輸は死刑に処される可能性がある。

一方、GNDCは押収された錠剤の出自を明らかにしていないが、中東で押収されたカプタゴンの大半がシリアとレバノンで製造されたものと考えられている。

シリアのアサド政権とレバノンを統治するイスラム過激派組織ヒズボラは麻薬取引への関与を否定しているものの、西側の専門家は国家ぐるみの犯罪と指摘している。

レバノンの駐サウジ大使は30日、この8年間でレバノン経由で密輸された錠剤7億錠以上を押収したとSNSに投稿した。

サウジ当局は昨年、ベイルートから出火されたザクロの中にカプタゴン約500万錠が隠されていたことを受け、レバノンからの果物・野菜の輸入をすべて禁じた。

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