◎イラン全土に広がった抗議デモはクルド系住民が多く住む地域で始まった。
イランの道徳警察に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

イランで活動する人権団体は21日、準軍事組織として恐れられているイラン革命防衛隊(IRGC)が西部のクルド系住民が多く住む地域で市民少なくとも30人を虐殺したと明らかにした。

人権団体ヘンガウ(Hengaw)によると、重武装したIRGC兵はこの1週間で反政府デモに参加した市民少なくとも30人を射殺したという。

ある地域では射殺された市民2人の葬儀が21日に執り行われ、大規模な集会に発展した。

BBCニュースがツイッターで共有した動画には「IRGCが機関銃を乱射している」と叫ぶ男性の姿が映っている。

この動画には血まみれの人々が路上に横たわり、「少女が頭を撃たれた」と叫ぶ人の姿も映っている。自動小銃の発砲音も聞こえる。

この町で抗議しているとみられる女性はツイッターにこう投稿している。「私たちを助けてください。彼らは人々を殺しています。なぜテヘランの人々は街頭に出ないのですか?クルディスタンを助けてください」

西アゼルバイジャン州マハバードでも弾圧が行われたと報告されている。

マハバード議会は声明で、「この1週間で市民少なくとも11人が殺害された」と報告している。

西アゼルバイジャン州の郊外にある小さな集落ではデモで殺害された16歳の少年の葬儀が営まれ、数万人が参列した。ヘンガウによると、警察は少年の遺体を強制収容しようとしたが、デモ隊に阻止されたという。

当局はデモで死亡したとみられる人々の遺体を持ち去り、遺族の許可を得ずにひそかに埋葬しているようだ。

イラン全土に広がった抗議デモはクルド系住民が多く住む地域で始まった。

クルド人女性のアミニ(Mahsa Amini)さんが首都テヘランで道徳警察に殴り殺されてからまもなく2カ月半となる。

アミニさんは9月13日、テヘランを訪問中にヒジャブ(スカーフ)を適切に着用しなかったという理由で道徳警察に殴られ、パトカーに頭を叩きつけられ、車内で暴行を受け、昏睡状態に陥り、3日後に死亡した。

クルド系住民が多く住む地域は騒乱の震源地となり、IRGCに狙われた。

イランの指導部はイスラエル、米国、そして隣国イラクに拠点を置くクルド人武装勢力が「暴動」を扇動していると主張しているが、証拠は示していない。

ツイッターやフェイスブックには非武装の市民が武装兵と対峙する写真や動画が多数共有されている。

ヘンガウは先週、西部地域だけで市民80人が虐殺され、少なくとも4000人が拘束されたと発表していた。

ノルウェーに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)などによると、治安部隊の攻撃でこれまでに民間人少なくとも419人が殺害され、数万人が負傷し、約1万7000人が拘束された。政府は治安要員54人が死亡したと報告している。

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