イラン戦争で世界のエネルギー供給網に打撃、IMFや世銀が警告
中東情勢が長期化すれば、1970年代の石油危機以来ともいわれる規模のエネルギーショックに発展する可能性があり、世界経済は重大な試練を迎えている。
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国際通貨基金(IMF)や世界銀行、国際エネルギー機関(IEA)、世界貿易機関(WTO)のトップらは29日、中東で続く戦争が世界のエネルギー供給網に深刻な影響を与えているとして警鐘を鳴らした。特に原油や天然ガス輸送の要衝であるホルムズ海峡周辺の混乱が長期化した場合、世界経済全体に大きな打撃を与える可能性があると指摘している。
現在の危機は、米国とイスラエルによる対イラン軍事行動を契機として拡大した地域紛争に端を発している。戦闘の激化によって中東地域の物流や海上輸送が混乱し、世界の金融市場やエネルギー市場に影響が波及した。とりわけホルムズ海峡は世界有数の石油・天然ガス輸送ルートであり、供給の停滞が続けばエネルギー価格のさらなる高騰を招く懸念が強まっている。
IMFは、今回の危機による経済的打撃は世界全体に及ぶものの、その影響は国によって大きく異なるとの見方を示した。エネルギー輸入への依存度が高い国や低所得国ほど価格高騰の影響を受けやすく、燃料費や輸送費の上昇がインフレを加速させる恐れがある。食料価格の上昇や財政悪化を招く可能性も高く、脆弱な経済基盤を持つ国々への支援が課題となっている。
世銀によると、戦争が始まって以来、27カ国が危機対応資金の確保に向けた手続きを進めている。エネルギー価格の急騰や供給網の混乱によって財政負担が増し、一部の国は緊急融資制度の活用を模索しているという。世銀は必要に応じて数百億ドル規模の支援を迅速に投入できるとの考えを示している。
エネルギー市場では供給不足への警戒感が高まっている。ロイター通信がまとめたアナリスト調査では、2026年の原油価格予想が3カ月連続で引き上げられた。中東からの石油輸出量は戦争前と比べて50%以上減少し、世界市場で供給不足への懸念が広がっている。専門家の間では、たとえ停戦が成立したとしても供給網の正常化には数カ月を要するとの見方が強い。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)もエネルギー価格の高騰が長引けばインフレ圧力が持続し、金融政策にも影響を及ぼす可能性があるとしている。各国の中央銀行は物価抑制と景気維持の両立という難しい課題に直面している。
一方、トランプ米政権はイランとの停戦合意やホルムズ海峡の再開を含む枠組みについて最終判断を下す考えを示している。しかし現時点では情勢の先行きは不透明で、国際機関は各国政府に対しエネルギー備蓄の確保や市場安定化策の強化を呼びかけている。中東情勢が長期化すれば、1970年代の石油危機以来ともいわれる規模のエネルギーショックに発展する可能性があり、世界経済は重大な試練を迎えている。
