フーシ派がイエメン南部で急進、紅海の要衝掌握で米国に難題、イランの影響力拡大も
フーシ派は今週、イエメン西岸を南下する大規模な攻勢を開始し、紅海沿岸の要衝モカを含む地域を相次いで制圧した。
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イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海沿岸で急速に勢力を拡大し、トランプ米政権が難しい対応を迫られている。フーシ派は9月11日、紅海とアデン湾を結ぶ要衝バブ・エル・マンデブ海峡の中央に位置するペリム島を掌握した。海峡をめぐる支配力を強めれば、世界の海上輸送や原油供給に大きな影響を与える可能性がある。
フーシ派は今週、イエメン西岸を南下する大規模な攻勢を開始し、紅海沿岸の要衝モカを含む地域を相次いで制圧した。ペリム島はアフリカ側とアラビア半島側を結ぶ海上交通の重要地点であり、ここを押さえることでフーシ派はバブ・エル・マンデブ海峡への圧力を一段と強めることになる。
この動きはイランと米国の対立が続く中東情勢にも直結する。ホルムズ海峡では混乱が続いており、バブ・エル・マンデブ海峡までフーシ派の影響下に入れば、イランは中東の主要石油輸送ルート2つに対して影響力を持つことになる。バブ・エル・マンデブ海峡が閉鎖されれば、世界の石油供給の約7%、世界貿易の約12%が影響を受ける可能性がある。
最大の問題は、サウジアラビアがフーシ派への対抗で米国の軍事支援を求めていることだ。サウジのサルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)はトランプ(Donald Trump)米大統領に軍事支援を要請したとされるが、米国は現時点で直接的な軍事介入には応じず、情報共有や攻撃目標の特定などで支援する方針を示している。
米国にとってフーシ派を放置すれば、紅海側の航行が脅かされ、原油価格や世界の物流にさらなる打撃を与える。一方で、フーシ派への直接攻撃に踏み切れば、イランとの戦闘に加えて新たな軍事作戦を抱えることになる。米軍の艦艇や航空戦力、防空ミサイルなどへの負担も増すため、トランプ政権にとって容易な選択ではない。
さらに、米国は2025年、フーシ派による紅海の船舶攻撃停止と引き換えに、米軍が同組織への爆撃を停止する合意を結んでいた。再び攻撃に踏み切れば、この枠組みを事実上破棄することになり、米軍へのミサイルやドローン攻撃を招く危険もある。
フーシ派の急進は、単なるイエメン内戦の再燃にとどまらず、米国とイランの対立、サウジの安全保障、世界のエネルギー市場を同時に揺さぶる問題となっている。紅海の要衝をめぐり、トランプ政権が軍事介入と地域勢力への委任のどちらを選ぶのかが、今後の中東情勢を左右する焦点となる。
