都市の緑を増やし地域格差を是正しようとする市民活動拡大 米国
ニューポートでは歴史的な邸宅が立ち並ぶ南部地区に成熟した街路樹が多く存在し、気温の上昇を抑え、大気を浄化し、野生生物の生息環境を支えている。
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米ロードアイランド州ニューポートで都市の緑を増やし地域格差を是正しようとする市民活動が進んでいる。ボランティアと非営利団体が協力し、樹木の持つ環境的・健康的な恩恵をより多くの住民に届ける取り組みが広がっている。
ニューポートでは歴史的な邸宅が立ち並ぶ南部地区に成熟した街路樹が多く存在し、気温の上昇を抑え、大気を浄化し、野生生物の生息環境を支えている。一方で、低所得層が多く住む北部地区では樹木が少なく、こうした恩恵を十分に受けられていない状況がある。地域間で樹木の分布に差があることは「ツリー・エクイティ(樹木の公平性)」の問題として認識されている。
こうした課題に対応するため、地元の非営利団体「ニューポート・ツリー・コンサーバンシー」は長年にわたり植樹活動を続けてきた。市と連携しながら約40年にわたり都市の樹冠(ツリーキャノピー)拡大に取り組み、特に緑の少ない地域への植樹を重視している。
活動の中心の一つが、市有地であるミアントノミ記念公園での森林再生活動である。この公園では外来植物の繁殖や病気、さらにはシカやウサギなどによる食害によって在来種の樹木が減少してきた。そこで団体は森の中に残る在来種の苗木を掘り起こして育成施設で保護し、再び植え直すという手法を導入している。これにより苗木の生存率を高め、より健全な森林を再構築する狙いがある。
2026年のアースデー(4月22日)には15人のボランティアが参加し、苗木の採取や植え替え作業を行った。参加者の中には近隣住民も多く、自らの生活環境を改善したいという意識が活動を支えている。実際に植樹によって景観が改善され、鳥が戻ってきたといった変化を実感する声も上がっている。
一方で、こうした取り組みは資金面での課題にも直面している。当初は森林局を通じて非営利団体「アーバーデイ財団」に提供された連邦補助金の一部を受け取っていたが、環境政策の見直しに伴い約7500万ドル規模の助成が打ち切られた。この影響で同団体が見込んでいた約15万ドルの資金も失われたものの、寄付やボランティアの協力によって活動は継続されている。
団体は今後も樹木の本数だけでなく、地域ごとの「ツリー・エクイティ・スコア」の改善を目標に掲げる。この指標は住民が樹木による健康、経済、気候面の利益をどれだけ享受できているかを示すものである。緑の少ない地域に重点的に植樹を進めることで、都市全体の環境と生活の質の向上を図る考えだ。
都市の樹木は単なる景観要素にとどまらず、気候変動対策や公衆衛生の観点からも重要な役割を担う。ニューポートでの取り組みは地域格差の是正と環境改善を同時に目指す実践例として注目されている。ボランティアと地域社会の協働が、持続可能な都市づくりの鍵となっている。
