◎今年1月に就任したダシルバ大統領はボルソナロ政権時代の方針を覆し、森林を保護すると約束している。
2022年3月9日/ブラジル、首都ブラジリアで開催された環境保護集会(Getty-Images/AFP通信/EPA通信)

ブラジルの国立宇宙研究所(INPE)は7日、同国の先月の熱帯雨林伐採面積が前年同月から14%増加し、356㎢に達したと発表した。

今年1月に就任したダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領はボルソナロ政権時代の方針を覆し、森林を保護すると約束している。

しかし、INPEが公表したデータはダシルバ政権が公約を果たせていないことを示していた。なお、1~3月の伐採面積は前年同期比で11%減少している。

首都ブラジリアに拠点を置く環境保護団体クライメート・オブザーバトリー(Climate Observatory)の代表はロイター通信の取材に対し、「この数字はアマゾンが依然として大きな危機に直面していることを示している」と語った。

ボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領は在任中、熱帯雨林の開発を推進し、そこに進出しようとする企業を後押ししてきた。

これに対し、ダシルバ氏は森林破壊を取り締まり、熱帯雨林を伐採する企業から先住民を保護すると公約に掲げ、昨年の大統領選に勝利した。

ダシルバ氏は昨年11月のCOP27(国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議)で、「ブラジルの新政権は森林破壊に挑戦を挑む」と述べ、喝采を浴びた。

しかし、先月の伐採面積は前年同月、ボルソナロ政権時代から14%も増加してしまった。

これはボルソナロ政権時代に施行された緩い法律や規則のおかげであり、伐採・土地開発事業者がアマゾン開発を継続できていることを示している。

世界自然保護基金(WWF)のブラジル支部はフェイスブックに声明を投稿。「この数字は自治体と法律が弱まり、違法伐採が続いていることを示している」と述べ、ダシルバ氏にさらに踏み込んだ対策を導入するよう提案した。

またWWFは「ダシルバ政権は森林破壊および地球温暖化と真剣に戦う意志を示したものの、流れを変えるには時間がかかる」という見方を示した。

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