マスク!マスク!マスク!トランプ大統領はマスク集めに奔走する

 コロナウイルスの感染拡大に苦しめられているアメリカ。現在深刻な問題になっているのが、マスク不足である。アメリカはドイツに出荷予定だったマスク20万枚の輸出を許可せず、ドイツ政府から「海賊行為」と批判されている。

 ベルリン警察が手配した20万枚のマスクは、アメリカで足止めを食らい、同国に到着することはなかった。ベルリンのアンドレアス・ガイゼル内務大臣は、「輸出許可が取り消され、アメリカ国内で使用されたのだろう」と語った。

 使い捨て式防じんマスクを製造するアメリカの企業「3M(スリーエム)」は、トランプ大統領が発動した「国防生産法」を受け、医療製品の輸出を禁止された。これは、政府が直接産業界に命令を出せる法律であり、今回のコロナウイルス感染拡大を受け、国内の医療品不足を補うために発動された。

 トランプ大統領はコロナウイルス特別調査委員会の中で、「国防生産法により、アメリカ国内で使用する医療器具、マスク等を生産している。それらは国民のために今すぐ必要とされるものだ」と述べた。

 20万枚のマスクを失ったガイゼル内務大臣は、「現代の海賊行為。国際貿易規則を遵守しなければならない」と述べ、さらに、「海賊行為は我々との貿易関係を維持していくうえで相応しくない、世界中がコロナウイルスの脅威と戦っている」と付け加えた。

 ガイゼル内務大臣の発言は、アメリカのバイヤーに対する不満も込められている。フランスでは、アメリカのバイヤーが医薬品の価格を不当に引き上げており、入手に苦労している。イル・ド・フランスのヴァレリー・ペクレス知事は、不足・高騰するマスクの入手を「宝探し」に例え、アメリカ政府およびバイヤーを非難した。

 ぺクレス知事は「入手可能なマスクを見つけたが、アメリカ人バイヤーによって価格が3倍に引き上げられている。さらにバイヤーたちは前払いを要求してくる」と述べた。

 コロナウイルスの感染拡大が深刻になるほど、医療器具の需要は高まる。マスクやアルコール消毒液、人工呼吸器の入手は困難を極め、世界中で増産が進められている。しかし、それらの価格が不当に引き上げられれば、人道的危機を招く可能性もあるだろう。

 今週初め、WHOは公開しているガイダンスの中に、「マスク着用を推奨する」という項目追加の検討を開始したと述べた。現在WHOは、一般人のマスク着用を推奨しておらず、手洗いの励行、社会的距離を保つなどの対策をアドバイスしている。しかし、コロナウイルスの感染拡大が続く中、各国政府はこのアドバイス/ガイダンスに疑問符を投げかけている。

 深刻なマスク不足に歯止めがかからない限り、今回のような事案は世界中で発生しうる。トランプ大統領は、カナダとラテンアメリカへの医療器具輸出を停止したいと述べ、大きな波紋を呼んだ。カナダのジャスティン・トルドー首相は「皆がマスクを必要としている。輸出を停止するのは大きな間違いだ」と警告した。

 4日、世界のコロナウイルス感染者は100万人超、63,000人以上が死亡した。また、アメリカの感染者数は277,953人、24時間で32,000人以上増加した。イタリアの死者数は14,681人、スペインの死者数は10,935人。欧州の新規感染者は低下傾向にある。

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