◎エルナンデス前大統領は3週間前に退任した。
2022年2月15日/ホンジュラス、首都テグシガルパの警察本部、フアン・オルランド・エルナンデス容疑者(Elmer Martinez/AP通信)

2月15日、ホンジュラスの警察はフアン・オルランド・エルナンデス前大統領の逮捕状が発行されたことを受け、逮捕に踏み切った。

最高裁判所の判事は15日の早い時間にエルナンデス容疑者の逮捕状に署名し、米国政府の要請に基づき、手続きを開始していた。

エルナンデス容疑者は3週間前に退任したばかり。米国は数年前に麻薬の密売と武器取引に関与した疑いで同氏を告発しており、先月の退任に合わせてホンジュラス政府に身柄の引き渡しを要求していた。

AP通信によると、警察は首都テグシガルパにあるエルナンデス容疑者の自宅を14日遅くに包囲し、逮捕令令が出ると自宅に踏み込み、同氏を逮捕したという。

エルナンデス容疑者は以前、命令が出れば出頭すると述べていた。

ニューヨークの検察はエルナンデス容疑者を麻薬密売容疑で告発しているが、本人は関与を否定している。同氏の兄弟は国家規模の麻薬密売に関与した容疑で起訴され、2021年3月に米国の裁判所で終身刑を言い渡されている。

エルナンデス容疑者に対する主な罪状は麻薬取引、それに関連する武器の使用、共謀など。

エルナンデス容疑者の弁護団は15日未明に同氏の自宅と思われる場所で撮影された映像を公開し、逮捕状はまだ出ていないと述べていた。

エルナンデス容疑者も15日未明、「支援者に感謝する」とツイッターに声明を投稿した。同氏は声明の中で「逮捕状が発行されれば、弁護団は警察に状況を説明し、自発的に行動する」と約束した。

地元メディアによると、事件を担当する判事は明らかにされていないという。

最高裁判所のアルゲタ長官はエルナンデス容疑者と親しいことで知られ、最高裁の判事15人全員も同氏の任期中に選出されている。判事の任期は7年で、ほとんどが同氏の国民党出身者である。

エルナンデス容疑者はトランプ政権からは一定の支持を得ていたが、中米に蔓延する腐敗を移民の増加の原因と考えているバイデン政権からは距離を置かれていた。

ホンジュラスの歴史を研究しているカリフォルニア大学サンタクルーズ校のダナ・フランク教授はソーシャルメディアに、「米国はオバマ政権時代からエルナンデスを野放しにしてきた」と投稿した。「米国が最も早く制裁を科していれば、ホンジュラスの被害はここまで大きくならなかったでしょう」

AP通信の取材に応じたホンジュラスのドゥアルテ弁護士は、「エルナンデスの身柄引き渡し手続きは3カ月ほどで完了するだろう」と述べた。

裁判所は2カ月以内に米国(NY検察)の証拠を確認する審問を開き、身柄引き渡しの可否を判断する。

裁判所が身柄引き渡しを認めた場合、容疑者は3日以内に控訴することができる。控訴裁判所は5日以内に身柄引き渡しを認めるか決定を覆すかどうかを決める。裁判所が引き渡しを拒否した場合、米国は上訴できる。

エルナンデス容疑者の後任であるシオマラ・カストロ・デ・セラヤ大統領は先月27日に宣誓した。

容疑者の弁護団のひとりであるエルメス・ラミレス弁護士は15日、地元メディアの取材に対し、「ホンジュラス政府は適切な手続きを踏んでいない」と述べた。

AP通信によると、エルナンデス容疑者の自宅周辺は警察の特殊部隊と軍の部隊に包囲されており、周辺住民も退避を求められたという。

エルナンデス容疑者は2014年1月に大統領に就任し、最高裁をうまく引き立て、憲法で禁じられている大統領の再選を克服し、2017年の選挙で2期目を勝ち取った。

特殊部隊の包囲の様子を見守っていたシオマラ・カストロ大統領の支持者は地元メディアの取材に対し、「この日を待っていた」と語った。「私たちはこの日を待っていました。あの麻薬密売人、犯罪者、殺人者が逮捕されると聞き、ほっとしています」

2022年2月14日/ホンジュラス、首都テグシガルパにあるエルナンデス前大統領の自宅近く(Elmer Martinez/AP通信)
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