◎活動家たちは政府のリチウム採掘と鉱山の開発計画に反対している。
2022年2月15日/セルビア、首都ベオグラードの政府庁舎近くで行われた抗議デモ(Darko Vojinovic/AP通信)

2月15日、セルビアの首都ベオグラードで政府のリチウム採掘と鉱山の開発計画に反対する抗議デモが行われ、数百人が政府庁舎近くの道路を封鎖した。

一方、大統領府では建国記念日を祝う式典が開催され、セルビアの文化、映画、振興などに貢献した著名人にメダルが授与され、俳優のジョニー・デップ氏も出席した。

デップ氏はセルビアで制作されたテレビアニメシリーズ「Puffins Impossible(原題)」で主人公の声を担当し、セルビアで開催される映画祭にも何度か出席している。

権威主義者のアレクサンダル・ヴチッチ大統領は様々な分野で活躍している数十人および団体にメダルを授与した。

一方、政府の計画に反対する抗議者たちは大統領府に続く道を封鎖し、警察と衝突した。AP通信によると、数人が公務執行妨害で拘束されたという。

議会は昨年、私有財産の収用手続きをより迅速に行える法律を施行し、リチウム鉱山開発を後押しした。これに環境保護団体は強く反発し、ベオグラードの高速道路を封鎖するなどして政府に抗議している。

一部の団体は現在、大統領府前の芝生広場に陣を敷き、連日抗議デモを行っている。15日には首都の別の場所で数百人規模の集会が開催されたと伝えられている。

リチウム鉱山の開発と一連の抗議デモは4月3日の総選挙に影響を与える可能性があり、ヴチッチ政権を悩ませている。政府は昨年、リオ・ティント社による西部のリチウム採掘計画を中止し、デモの沈静化を図ったが、活動家たちはリチウムとホウ酸塩の採掘禁止を要求している。

リオ・ティント社はイギリスに本拠を置く多国籍企業で、他国でも抗議デモに直面している。

活動家たちはリオ・ティント社の計画中止は一時的なものであり、総選挙が終われば同様の計画が動き出すと懸念を表明している。

セルビアは深刻な水質汚染、大気汚染、産業廃棄物の不適切な処理に伴う公害に悩まれており、EU加盟の大きな障害になっている。

AP通信の取材に応じた活動家グループは、総選挙が終わるまで抗議デモを継続すると述べた。「リチウムとホウ酸塩の採掘を法律で禁止すれば、デモ隊は撤退するでしょう...」

一方、ヴチッチ大統領は15日の議会演説で4月の大統領選挙に合わせて議会を早期解散し、地方選挙と同じ日に総選挙を行う予定と述べた。

ヴチッチ大統領はEUの主要国から独裁的と非難されており、主要な野党も民主主義の欠如を理由に2020年の議会選挙をボイコットしている。

昨年同盟を結んだ主要野党は今年の選挙で政権を奪取すると宣言している。

また、モラモと呼ばれる環境保護団体も議会選挙に参加する予定である。この団体は環境問題と自然保護の重要性を訴えることで多くの支持を集めており、今年の選挙の「台風の目」になる可能性があると伝えられている。

2022年2月15日/セルビア、首都ベオグラードで行われた授賞式、アレクサンダル・ヴチッチ大統領と俳優のジョニー・デップ氏(Serbian Presidential Press Service/AP通信)
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