◎処刑された男性はモスク内でイスラム教の聖典コーランを燃やしたと伝えられている。
2022年2月13日/パキスタン、東部ハーネーワール地区の村、石打ちの刑で死亡した男性の遺体を運ぶ人々(Asim Tanveer/AP通信)

2月13日、パキスタンの警察当局は東部ハーネーワール地区の村でコーランを侮辱した男性が石打ちで殺害されたと発表した。

警察の報道官によると、事件を目撃した人々は処刑された男性が地元のモスクでイスラム教の聖典コーランを燃やしたと証言しているという。

報道官は記者団に対し、「現場に到着した警察官は群衆に取り囲まれている男性を発見した」と述べた。「対応にあたった警察官3人は群衆の怒りを抑えようとしましたが、一部が石を投げ始め、男性はまもなく死亡しました...」

地元の医療機関によると、3人の警察官のうち1人は重症、2人は軽傷を負ったという。

ハーネーワール地区警察の署長は別の記者会見で、「モスクに増援を送ったが間に合わなかった」と述べた。「増援部隊は木に吊るされた男性の遺体を回収しました...」

AP通信によると、男性は事件が起きた村の住民ではなかったという。

警察署長は記者団に対し、「死亡した男性の遺族によると、男性の精神状態は非常に不安定で、よく行方不明になっていた」と明らかにした。遺体は遺族に引き渡されたという。

一方、モスクの管理人はAP通信に、「モスク内から煙が上がっていたので、家族や周囲の人に助けを求めた」と語った。「モスクに入ると、男性がコーランを燃やしていました。私はやめるよう言いましたが、男性は叫び、別のコーランに火をつけようとしました...」

目撃者によると、現場に到着した警察官3人は男性を保護しようとしたが、怒り狂った暴徒に殴られ、1人は石を投げつけられ負傷したという。

警察は目撃者の証言などを基に加害者の特定にあたっている。地元メディアによると、これまでに少なくとも80人が拘束されたものの、処刑には300人以上が参加した可能性があり、全員を逮捕することは困難だという。

イムラン・カーン首相は事件に深刻な懸念を表明し、連邦政府は自治体と連携して捜査にあたっているとツイートした。

またカーン首相は、「パキスタンは私刑を一切容認せず、リンチに関わった者は法に基づき処罰される」と強調した。

パキスタンでは私刑が横行しており、昨年末にはパンジャーブ州の工場で働いていたスリランカ人男性が処刑されている。この男性もイスラム教を冒とくしたと伝えられているが、詳細は明らかにされていない。

パキスタンの刑法はコーランや預言者ムハンマドに対する冒とくを厳しく禁じており、違反した者は死刑に処される。ただし、実際に死刑された者は少ないと伝えられている。

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