◎プーチン大統領は会談の冒頭、危機を解決しようとするマクロン大統領の努力を賞賛した。
ウクライナ東部で進行中の危機をめぐり、世界の指導者たちがロシアとの交渉と緊張緩和に向けた取り組みを強化している。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は7日、モスクワでウラジミール・プーチン大統領と会談し、戦争回避を望んでいると希望を表明した。
一方、ジョー・バイデン大統領はフランスと共にEUを率いるドイツのオラフ・ショルツ首相を迎え、「両国はロシアの侵攻に対処するために足並みを揃えている」と強調した。
ロシアは2014年に併合したクリミア半島を含むウクライナ東部に10万人規模の部隊を配備したと伝えられている。
西側諸国はロシアのウクライナ侵攻計画を非難しているが、ロシアは侵攻の可能性を繰り返し否定している。
ホワイトハウスの安全保障担当は6日に放送されたインタビューの中で、「ロシアは本格的な侵攻に必要な軍事力の70%を現地に集めた」と述べた。
ロシアは昨年末、米国とNATOに東欧の緊張を緩和させる安全保障条約の草案を提案し、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しないこと」「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」などを書面で法的に保証するよう求めたが、米国とNATOは先月、ロシアの提案を正式に拒否した。
米国とNATOは提案を拒否する代わりに、核兵器の削減を含む他の分野での協議をロシアに求めている。
プーチン大統領は会談の冒頭、危機を解決しようとするマクロン大統領の努力を賞賛した。
一方、マクロン大統領は「戦争を回避したい」と強調し、「会談は緊張を緩和し、信頼と安定を構築することを目的としている」と述べた。
マクロン大統領は首脳会談に先立ち、フランスのメディアに、ウクライナに関する合意は手の届くところにあるという見解を示し、「ロシアには自国の安全保障上の懸念を提起する権利がある」と述べていた。
またマクロン大統領は、「ロシアの目的はウクライナではなく、NATOやEUとのルールを明確にすること」と述べていた。
しかし、ロイター通信によると、ロシアのペスコフ報道官は首脳会談に先立ち、「ロシアが提案した安全保障に関する問題で目新しい話題はひとつもない」と述べ、西側諸国を批判した。「状況はあまりにも複雑で、1回の会談で打開策を期待することはできないでしょう...」
一方、ドイツのショルツ首相はウクライナへの支援が不足していると批判を受ける中、バイデン大統領との会談に臨んだ。ドイツはウクライナに兵器ではなくヘルメットを提供している。
ショルツ首相は記者団に「侵攻は大きな代償を伴う」と述べ、NATO同盟国との連帯を強調した。
ドイツ通信社によると、ランブレヒト国防相はリトアニアに350人の部隊を追加派遣し、東欧の防衛力強化に向けた取り組みを加速させると発表したという。ドイツはリトアニアに兵士500人を駐留させている。
ショルツ首相とバイデン大統領は欧州とロシアを結ぶ新たなガスパイプライン「ノルドストリーム2」についても議論すると伝えられている。米国はこのパイプラインの運用開始を阻止するとロシアに圧力をかけているが、ドイツは制裁には言及していない。
バルト海を通過するノルドストリーム2はドイツへのガス輸送を倍増させるが、旧パイプラインに依存しているウクライナは大きな打撃を受ける可能性がある。
ウクライナとロシアの半国営企業ガスプロムの契約は2024年に切れる予定。ロシアは旧ルートの輸送量を減らし、ノルドストリーム2を欧州のメインパイプラインにする予定だが、これを実行するとウクライナは数十億ドル規模の輸送費損失を被ることになる。
一方、ブリンケン米国務長官は、EUのボレル外交政策責任者と会談している。ブリンケン国務長官は会談の冒頭、「米国はロシアが蛇口を閉める可能性を考慮し、関係国と協力して欧州のエネルギー供給を保護する取り組みを進めている」と述べた。
米国は日本を含む同盟国と「欧州に天然ガスを融通する取り組み」の協議を始めている。
マクロン大統領は8日にウクライナ、ショルツ首相も2月14日~15日にロシアとウクライナをそれぞれ訪問する予定。ドイツの外相は他の欧州諸国の外相らとともにウクライナ入りしている。
イギリスのウォレス国防相は7日、ロシアの同盟国ベラルーシと国境を接するポーランドに350人の追加部隊を派遣すると発表した。
フランスは現在EUの議長国を務めている。